2008-01-01から1年間の記事一覧

小野善康『景気と国際金融』

田中秀臣氏のhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081226は、ぼくにとって気分の悪いエントリーなので、正直いってリンクを張りたくなかったのだけど、ここで書かれている小野善康『景気と国際金融』岩波新書に関する記述は、なんかぼくの記憶と違う気が…

さすが稲葉さん、すげぇ。

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20081227稲葉さん。こういうのは、「悪意」だと思いません。すばらしい批判or批評です。正直いって、田中さんの今回のは、相当に気分が悪いけど、それもネットで人をやりこめたり、あげあしをとったり、ラジバンダリ…

YUIとネットで傷ついている人たちに贈るスレッサーの小説

後日記:このエントリーで紹介しているスレッサーの小説について、ぼくは都築『黄色い部屋はいかに改装されたか』で読んで、それに書いてあったあらすじを書いたので大丈夫だ、と判断したのだけど、稲葉さんに示唆されてから気になって検索してみると、スレ…

バブルがはじけると激しい不況になるのはなぜか

田中秀臣さんのブログによると、「小島寛之さんだっていま総叩きの刑wですが、実物はふつうのおっさんですよ」ということだが、総叩きだったのか、知らなかった・・・。で、ちょっと検索をかけてみたんだけど、「総」というほど国内的にアグリゲイトされた量で…

急激に退行する世界にて

このエントリーは、最初のバージョンでは、いくつかのブログで指摘されたように(例えば、http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20081227)、装飾が強く効き過ぎてしまい、とりわけ経済学に精通している人には書き手の意図が反転して伝わってしまうようなの…

数学の道が閉ざされるとき

遅ればせながら映画『容疑者ケインズ』、もとい、映画『容疑者xの献身』を観てきた。 なぜ観に行ったか、というと、ぼくがCDまで買ってしまいそうな勢いの柴咲コウのファンだからでは決してなく、福山演じるガリレオ先生の講義のように教室を女子大生でいっ…

ハッカーな知り合い

「ブラッディ・マンディ」というテレビドラマを毎回見ている。日本の警察が間抜けすぎるのを除けば、とても面白い作品だと思う。とりわけ、三浦くんが演じている高校生ハッカーがかっこいい。いや、ハッカーはかっこよくてはいけないのだが、でもかっこいい…

踏み倒しの合理性

小室哲哉の逮捕には驚いた。90年代、音楽の重心が洋楽からJpopに移動していくなか、それに乗り遅れたぼくらは焦りと疑心暗鬼の中にいた。みんながあだ花を追っているのか、自分たちがゾンビにしがみついているのか、ぼくらには自己判断ができない状態だった。…

数学のフィロソフィー

今並んでいる『現代思想』2008年11月号は、テーマは「<数>の思考」、要するに整数論の特集なのだ。「現代思想」という雑誌の性格上、かなり冒険的な特集だと思う。ぼくは、企画段階でちょっとアイデアを出し、あとは数論専門家の黒川信重さんの聴き手を務…

数論マニア

ここ数回は、今週刊行された『世界を読みとく数学入門〜日常に隠された「数」をめぐる冒険』角川ソフィア文庫にちなんで、数論のことを書こうと思う。(この本の序文は、世界を読みとく数学入門 - hiroyukikojimaの日記にさらしてある)。 ぼくが、中学生のと…

世界を読みとく数学入門

明日あたりから、ぼちぼち、ぼくの新著が並び始めるので、ここで告知しておこう。 タイトルは、『世界を読みとく数学入門〜日常に隠された「数」をめぐる冒険』角川ソフィア文庫。世界を読みとく数学入門 日常に隠された「数」をめぐる冒険 (角川ソフィア文…

サイエンスとしての経済学

今、世界経済がすごいことになっている。こういうときは、経済学者のはしくれとして、経済の現状に何かコメントすべきかもしれない。でも、ぼくには自信を持っていえることは何もない。 20世紀初頭の世界大恐慌との比較が、新聞にもネットにも溢れている。で…

ムペンバ効果と経済

さっき、楽しみに待っていた雑誌RikaTanが届いた。以下のものだ。RikaTan (理科の探検) 2008年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: 星の環会発売日: 2008/09/26メディア: 雑誌購入: 13人 クリック: 141回この商品を含むブログ (2件) を見る今月号には、田崎晴明…

波乱の時代

ここの1,2週間は、世界経済が、あまりの激動だった。 ぼくが、経済学と触れたのは、市民講座の宇沢先生のゼミに参加したときだったが、それは80年代後半から90年代の初め。宇沢先生は、ケインズの理論を扱うのに大恐慌の時代の混乱とかを話してくださったが…

素数のひみつ

9月は、なんだかんだとむっちゃ忙しくて、ぜんぜん更新ができなかった。意地になってぎりぎりの今日、更新しようと思う。 実は今日、雑誌『現代思想』青土社の11月号の企画で、数学者の黒川信重先生と対談、というか、聴き手をしてきた。特集は、「数論」、…

「7の倍数」の判定法

家族旅行に行ったとき、息子と温泉に入る機会があり、ぼくが下駄箱の番号を吟味しているのを目撃した息子が理由を尋ねるので、「パパは子どもの頃から素数の番号に入れるようにしている」と答えた。そんな話になった経緯があったので、温泉を出るときに、息…

バーナンキの背理法に足りないもの

田中秀臣さん、ナーイス。 バーナンキの背理法の原典を引用してくれた。 いやあ、背理法を使うとき忘れてはならないこと - hiroyukikojimaの日記を書いたのは、別にバーナンキの背理法を否定したり、リフレ派を攻撃するためじゃなくて、週刊東洋経済に書いた…

メカニズムデザインってだいじだと思う。

坂井豊貴・藤中裕二・若山琢磨『メカニズムデザイン』ミネルヴァ書房を入手した。メカニズムデザイン―資源配分制度の設計とインセンティブ作者: 坂井豊貴,藤中裕二,若山琢磨出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 6人 ク…

背理法を使うとき忘れてはならないこと

週刊東洋経済の9月1日号に載る(はずの)原稿を書き終えた。 その中に、キドランドとプレスコットがノーベル賞を受賞することとなった「動学的不整合性理論」の解説を書いた。(この理論については、週刊東洋経済9月1日発売号をちゃんと買って読んでくださいな)…

田中秀臣さんは愛に満ちた敵

田中秀臣さんが、拙著新刊『容疑者ケインズ』プレジデント社を、3回にもわたって、ご自身のブログで紹介してくださった。とりわけ面白かったのが、田中秀臣ブログの8月14日の日記の出だしであった。 献本いただく。どうもありがとうご‥‥って、これで二冊目や…

『容疑者ケインズ』出ております。(序文をサービス)

以前、グッバイ・ケインズ - hiroyukikojimaの日記で予告しましたぼくの新刊『容疑者ケインズ』プレジデント社が先週末から書店に並んでおります。カバーは、こんな感じ。容疑者ケインズ (ピンポイント選書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: プレジデント社発…

関係性の社会思想へ

ちょっと前にすでに出ているけど、改めて、雑誌『現代思想』8月号((目次→青土社)を紹介しようと思う。現代思想2008年8月号 特集=ゲーム理論 非合理な世界の合理性作者: 松井彰彦,小島寛之,岡田章,松島斉,関根崇泰,茂木健一郎,上野千鶴子,木村朗子,渡辺隆裕,…

『入門ベイズ統計』の読みどころ

今回は、前回の日記の補足。 前回の統計学の面白さはどこにあるか - hiroyukikojimaの日記で松原望先生の本入門ベイズ統計―意思決定の理論と発展作者: 松原望出版社/メーカー: 東京図書発売日: 2008/06メディア: 単行本購入: 107人 クリック: 2,061回この商…

統計学の面白さはどこにあるか

先日、とあるパーティで、統計学者の松原望先生と会った。 松原望先生は、早期からベイズ統計学の重要性を世にアピールしてきた先駆者である。ぼくは、経済学部の大学院在学時に、選択科目ではあったが、松原望先生の「ベイズ統計学」という講義を受け、そこ…

ゲーム理論の重力場

先日、東大の経済学者でゲーム理論家・松井彰彦さんと対談してきた。青土社の雑誌「現代思想」の8月に出る号がゲーム理論特集で、その中の企画の一つのためのものである。ぼくとしては、「聴き手」のつもりだったが、松井さんが「対談」というので、一応、こ…

新しい革袋に古い音楽

このところ、ずっと真面目なネタばかり書いてきて疲れたので、今日は読者を無視して、めちゃめちゃマニアックなことを書こう。 前回書いたグッバイ・ケインズ - hiroyukikojimaの日記というのは、実は、最近お気に入りのYUIがカヴァーしている曲で、ミッシェ…

グッバイ・ケインズ

今、次に出る本の初校を終えたところだ。 たぶん、8月頃に刊行されると思う。それは、ネットマガジンwired visionにブログ連載したhttp://wiredvision.jp/blog/kojima/をまとめる本なのだけれど、編集者のアイデアで、連載の中からケインズに関係したものだ…

憧れの超準解析

このところずっと、数学基礎論の勉強をしている。取り組んでいるのは、田中一之『数の体系と超準モデル』数の体系と超準モデル作者: 田中一之出版社/メーカー: 裳華房発売日: 2002/04メディア: 単行本 クリック: 300回この商品を含むブログ (10件) を見る主…

NUMB3RSを観た。

数学推理もの - hiroyukikojimaの日記で紹介したアメリカのテレビドラマ『NUMB3RS:天才数学者の事件ファイル』dfltweb1.onamae.com – このドメインはお名前.comで取得されています。が、ちょうどケーブルテレビで配信されていたので、3本ほど見てみた。なる…

告知:ラジオに出ます。

明日、19日の月曜に、ラジオに出ることとなった。J-waveのプラトンという生放送。夜10時から。 http://www.j-wave.co.jp/original/platon/ナビゲーターは、アンジャッシュの渡部さん。アンジャッシュのコントは好きなので、そういう点では楽しみではある。で…