朝日新聞で連載が始まりました。

今日の朝日新聞の朝刊から、科学欄で、ぼくの連載、
小島寛之の数学カフェ」
が始まった。毎週火曜日の朝刊にて連載。少なくとも2ヶ月ぐらいは続くんじゃないかな、と思うけど、詰まらなくて打ち切りになる可能性もある。
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500字程度のコラムなので、ネタを仕込むのと、それを圧縮して文章にするのがすごく大変。今までに経験したことのない文字数の書き物で、楽しさと苦しさがあいまっている。
第一回は、ぼくにとっての鉄板ネタ、伝家の宝刀、ということで「ベイズ確率」の話。ぼくの読者には、既読のネタだろう。
次回からは、いろいろくせ球を投げる予定。フォークあり、チェンジアップあり、暴投あり、って感じかな。いや、新聞だから暴投はまずいか、さすがに。
話を持ってきてくださったエディターは、ぼくがライターデビューした頃からおつきあいのある人だ。当時は、『科学朝日』に在籍していたけど、その後、朝日新聞に移って、今は偉くなっている。ぼくのデビュー作『数学迷宮』を読んで、ぼくに雑誌原稿を依頼してくれた。しがない塾の先生には、ものすごく嬉しいことで、本当に一生懸命に原稿を書いた。その少しあと、フェルマー予想ワイルズによって解決された、というニュースが飛び込み、ぼくはその人の命を受けて、取材を行い、科学系の雑誌の中でも最も早くルポを掲載したのが、一番の思い出である。
 去年、ブリリアント・グリーンの復活ライブを観にいったのだが、そのときトミーがMCでこう言った。「大事なのは万人に受け入れてもらうことではない。みんながいいたいことを言ってて、そのいいなりになると、たいした音楽ができない。本当に大切なのは、たった一人の権力を持った人に認めてもらうこと」。これを、トミーは、あの気だる〜いしゃべりで言ったのだけど、それを聴いたぼくは、なんだか一人だけ盛り上がっていたのだ。そう、まさにそういうことなのだ。万人に認めてもらうことではなく、たった一人の重要人物が自分の力量を買ってくれることで人生は開けるのである。800万人の読者に、ぼくの文章を読んでもらえる今回のチャンスは、18年ほど前、その編集者といっしょにした仕事を、ぼくが懸命にやり遂げたことの遠い遠い帰結なのだと思う。
な、わけで、今回もがんばんなくちゃ。少なくとも、途中降板にならないよう、一生懸命書くので、是非応援して欲しい。