今日の日経新聞の書評欄の「この一冊」に、ぼくの書いた書評が掲載されている。ハーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』NTT出版への書評だ。相当がんばって書いたので、日経をとっている方は是非お読みいただきたい。また、とってない方も、キヨスクなどでご購入の上、お目通しいただけると幸いである。書評では、本の内容の紹介に集中したので、ここではそれと棲み分ける形で、書評には書けなかった情報や、ぼく自身のパーソナルな感想文を書いてみたいと思う。

- 作者: ハーバート・ギンタス,小川一仁,川越敏司,佐々木俊一郎,成田悠輔
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2011/07/14
- メディア: 単行本
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もう一つ奇遇だな、と思うのは、ぼくも最近、ゲーム理論の(共著の)本を刊行したばかりだからだ。(わざとらしくかこつけて、自著の紹介。笑い)。それは、松原望・小島寛之『戦略とゲームの理論』東京図書という本。(内容について、詳しいことは、もうすぐ、新著『戦略とゲームの理論』が出ます! - hiroyukikojimaの日記参照のこと)。

- 作者: 小島寛之,松原望
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ギンタスの本からは、彼の数学者オーマンに対する敬意がひしひしと感じられる。ギンタスの本で、非常に多くのページがさかれ、しかも未来に大きな可能性を秘める理論として検討されているのが、「共有知識」及びそれと逆向き推論との関係、それから「相関均衡」なんだけど、これらはみなオーマンの論文を発祥の地としている。実は、恥ずかしながら、共有知識と逆向き推論とナッシュ均衡に関するオーマンの論文は、もっているけどまじめに読んでなかったものの一つなので、精読しなきゃな、と心新たにした。また、相関均衡について、ぼくはこれまでギンタスのような解釈をしてなかったので、確かにそういう視点でみるなら、これはスゴイおもしろいものだな、と思えるようになった。
とにかく、ギンタスの本を読み通すのは大変だった。へとへとである。なんせ、400ページもあるし、しかも、数学的にもきちんと記述されているので、数式を完ムシするわけにもいかず、ある程度理解しながら読み進めたので、読破するのに2週間以上かかってしまった。まあ、しかし、それは無駄どころか、むしろ有益でさえあった。なぜなら、ぼくの専門の中心部といっていいテーマの本だったからだ。研究にも活かせる書評の仕事がくることはめったにない。今回は役得といえる仕事だった。担当記者さん、ありがとう。
で、最後に、ぼくの参加する横浜国立大学の公開講座のお知らせ。詳しいことは、もう少ししてから書くので、今回は公示だけにしておく。
【講座A01】社会と数学−役に立つ数学
根上生也(横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授)
今野紀雄(横浜国立大学大学院工学研究院 教授)
桜井 進(東京工業大学 世界文明センターフェロー)
小林正人(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科 教授)
宇井貴志(横浜国立大学経済学部 教授)
小島寛之(帝京大学経済学部 教授)
2011年10月7日(金)〜2011年11月18日(金)
開催日:10月7日(金),14日(金),21日(金),11月4日(金),11日(金),18日(金)
詳しくは、【公開講座】社会と数学-役に立つ数学 - 公開講座のご案内 - 生涯学習 - 産学・社会連携 - 横浜国立大学に飛んで、それを読んでくださいませ。無料だし、(ぼくを除けば)オールスター超豪華キャストだよ。これを逃す手はない。

使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理 (ちくま新書)
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 新書
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