渋谷でトリコのライブを観てきますた

今日は、渋谷オーイーストで、トリコ(Tricot)とストレイテナーの対バンライブを観てまいりました。
もちろん、目当てはトリコ。このバンドは、TUTAYAの店内DJで曲のほんの一部を聴いて、電気ショックびりびりとなって、即座にCDをすべて購入し、さらには今日のチケットを入手した。めちゃくちゃ楽しみにしていた。そして、その期待は全く裏切られなかった。
ああ、ライブの感想を書く前に、新著の宣伝をちょっとだけさせてくれたまえ。youtubeにさえCMが入るようになった昨今、ブログにだって毎回、プチCMが入ったっていいじゃないか。
新著『数学的決断の技術〜やさしい確率で「たった一つ」の正解を導く方法』朝日新書は、今月の13日くらいに店頭に並んだんだけど、なんともう、書評をいただいた。日経夕刊(12月25日)の竹内薫さんの評である。いやあ、とてもステキなクリスマスプレゼントをいただいた気分である。実際、アマゾンのランキングは4ケタから3ケタにあがった。たったの2文なので、全文引用してしまっても怒られないんじゃないか、との予測の下に全文引用することにする。

数学・統計学・経済学・心理学にまたがる意思決定理論の本。「思考のクセ」をキーワードに読み進むと、自分の意思決定のパターンが判明し、びっくり仰天。

たった2文で、みごとに拙著の本質を言い当てていてスゴイ。さすが竹内センセイ。そう、「自分の意思決定のパターンが判明し」がポイント。そして、「びっくり仰天」と言っていただけると冥利に尽きる。ぜひぜひ皆さんも、本書で、ご自分の意思決定のパターンを確認していただきたい。本書についての詳しい紹介については、前々回(新著『数学的決断の技術』がもうすぐ発売です! - hiroyukikojimaの日記)とか、前回(新著『数学的決断の技術』が刊行されました! - hiroyukikojimaの日記)とかで情報を入れて欲しい。

さて、トリコのライブだ。
いやあ、本当にスゴイ演奏であった。このバンドは、ギタボ(中嶋 イッキュウ:女)、ギター(キダ モティフォ:女)、ベース(ヒロミ ヒロヒロ:女)、ドラム(komaki♂)という構成。音楽の方向性は、一言ではいいづらいけど、ぼくは「プログレガールポップ」だと思っている。たとえ、「プログレ」という言葉が死語だと言われても、そんな分類されると売れなくなるから迷惑だと言われても、あくまでこれは「プログレ」に分類したいと思う。これはロックを聴いて40年の意地なのだ。そう、ガールポップなのにプログレという、ぼくにとってはこのうえなく美味しいバンドなのだ。この歳まで音楽を聴き続けてきたのは、このバンドを観るためだったのか、と感慨深い。
実際、「bitter」という曲があるんだけど、この曲はまるで(キングクリムゾンの)ロバート・フリップのソロアルバムで(トーキング・ヘッズの)デビッド・バーンが歌った曲(〜ismを叫び続ける歌詞)とコンセプトがそっくりなのだね。単なる偶然かもしれないけどね。
それから、とにかく一曲の中で必ずリズムを切り替える、というところがすばらしい。それも一切乱れなく鋭い切り替えになっているので痺れる。ウソだと思ったら、youtubeで「Pool」とか「おちゃんせんすぅす」とか観てみそ。
ライブでは、キダ モティフォさんのギタープレイがあまりにすごくて、見入ってしまった。J-popの女性ギタリストですごく巧い、という人をあまり知らない。解散したナンバーガールのギタリストがその一人だけど、キダ モティフォさんはそれをはるかに越えるうまさだと思う。単にテクニックがある、というだけでなく、あれほどアグレッシブにギターをプレーする人は、男にもそんなにはいないんじゃないか、と思う。とにかく痺れまくった。
昔、すごく好きで、毎回ライブを観に行ったバンドにSoh-Bandというのがあった。これはプログレジャズロックバンドで、とにかくリズムの切り替えがかっこよくてすごかった。それは、ドラムの宗さんが曲を書いており、しかもフランクザッパを尊敬しているから、そういうコンセプトになってた。宗さんは、東大の医学部を出て、精神科医をしながらバンドをやってた。宗さんの死によって、残念ながらバンドの活動は停止になってしまった。Soh-bandは最後まで小さいライブハウスのキャパを出ることができず、客は多くて30人程度だった。ぼくは、このコンセプトで歌バンをやれば、もっと売れるだろうに、と常々思っていた。トリコは、まさに、Soh-bandに女子ボーカルを入れたような音楽なのだ。だから、トリコには、もっともっと売れてもらって、ぼくのイメージを証明してほしい。
対バンとして出演したストレイテナーは、2年ぶりくらい久々にライブを観た。以前は、好きでライブを定期的に観ていたバンドだった。ちょっとみないうちに、このバンドはめちゃんこ巧いバンドになっていた。とくに堀江さんのボーカルが、非常に表現豊かで安定したものになってて驚いた。あの天性の切ない歌声に、音程のぶれない的確さが加わっていてすばらしかった。
いやあ、五十路になっての、3時間のスタンディングはきついが、まだ、新しいバンドを追ってる自分を褒めてあげたい。あと何年続けられるか心許ないけど。
T H E(初回限定盤)

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