音楽方面の近況をいくつか

 12月になって、全くエントリーをできていないので、今回は音楽方面の近況を書いて、なんとかブログをつなごうと思う。
 先週の金曜日(12月19日)に、トリコが主催するイベント爆祭vol.9に参加してきた。会場は、渋谷クラブクアトロ、ゲストはスプリングサマーストレイテナーだ。今年は、ライブはこれが最後。実は、昨年に観た最後のライブも、トリコとストレイテナーの対バン・ライブだったので、2年続けて同じ構成となった。
 トリコは赤い公園と並んで、今年、もっとも聴きにいったバンドだ(例えば、赤坂ブリッツで、Tricotのワンマンライブを観てきた。 - hiroyukikojimaの日記など)。赤坂、下北沢、代官山、そして今回の渋谷と、たぶん、4回観ていると思う。下北沢と代官山は、キャパの小さいクラブで客が大暴れするので、落ち着いて聴くことができなかった。なので、もうこのバンドのクラブでのライブに行くのはやめよう、と思っていたのだが、つれあいが「クアトロでストレイテナーが観られるなら行きたい」というので、まあそれなら、とチケットを買った。
トリコは、女性3人から編成される、変拍子ばかテク・バンドである。リズムが奇数であるばかりでなく、小刻みにリズムを切り替えるので、非常にスリリングな演奏になる。そこが好きで観てきたのだけど、最近はちょっと不満なことが多かった。不満のひとつは、ドラマーが3月に脱退したために、その後、サポートドラマーで演奏活動をしていることにある。もちろん、いろんなドラマーを観ることができる、という点が楽しいというふうにも思えるのだが、やっぱり、演奏に充実感・安定感が欠けるようになってしまった。決して、叩けてない、ということはないのだが、やはりベースとリズムが微妙にずれることは否めないし、何より、毎回違うグルーブをされては満足感が損なわれる。余計なお世話だろうが、サポートドラマーでやるにせよ、ドラマーを固定してほしいと思う。もう一つ不満なことは、(下北沢でトリコ(Tricot)を観てきた。 - hiroyukikojimaの日記でも書いたけど)、小さなクラブにぎゅうぎゅう詰めになっているときは、ダイブとかモッシュとかをある程度制限するようなライブをしてほしい。暴れて楽しい、という客がいる一方、落ち着いて曲を楽しみたい客だっているのだ。まあ、アーティスト側が前者の客を好むなら、仕方ないことではあるけど。
そういう意味では、今回のクアトロでのライブは、久しぶりに満足のいくものだった。まず、サポートドラマーの山口さんのドラミングが相当に打ちとけていて、その上で、非常にアグレッシブなドラミングだったので、本来の「スリリングな」演奏になっていて、嬉しかった。あと、クアトロは段差があるので、前部に暴れる人たち、後部の一段高い場所でじっくり聴きたい人、というふうに、上手に棲み分かれていたのもありがたかった。また、地味目だけどとても大好きな曲である「しちならべ」をライブ演奏で初めて聴けて、涙が出た。本当にこの曲の歌詞は、心にしみる。個人的には、ギターのキダ・モティフォさんは美人だと思うのだけど、ギターを構えると野人になるのがすごくて、今回のライブでは、美人⇔野人、の切り替えが小刻みで、大変面白かった。来年は、フルアルバムを出し、ワンマンツアーを行うそうなので、今から楽しみである。
 一方、ゲストのスプリングサマーの演奏もなかなか良かった。ストレイテナーの影響を受けたのかな、と感じられるエモっぽいバンドで、最初の曲なんかは、コード進行だけでなんか胸が熱くなってしまった。
 しかし、今回なんと言ってもすばらしかったのは、ストレイテナーの演奏である。新譜からたくさんやってくれたのだけど、どの曲もみごとで、思わず帰りに(まだ買ってなかった)最新盤を物販で購入した上、Tシャツまでも買ってしまった。来年は、小島ゼミライブでストレイテナーの曲をやろう、という無謀な計画があるので、そのときにこのTシャツを着てステージにあがろうと思う。実は、ここ2〜3年、ストレイテナーから、若干、心が離れ気味だったのだけど、やはり堀江さんの天性の切ない歌声にはわしずかみにされてしまう。男性のボーカリストの声にぐっときたのも、久しぶりのことだ。楽曲の雰囲気も、一番好きだった頃の感じに戻ってきているように思えた。帰りに、会場の出口で、新ゼミ生(2年)とばったり会ったのは奇遇だった。ライブ会場で、「せんせ〜!」と声をかけられるのはけっこう恥ずかしい(笑い)。

Behind The Scene(初回限定盤)(DVD付)

Behind The Scene(初回限定盤)(DVD付)

 今年も、12月6日に、京王永山のライブハウスを借りて、小島ゼミのゼミライブを開催した。今回で4回目である。今回は、社会人2年目、社会人1年目、4年、3年、来年度のゼミ生(2年)と5世代のゼミ生が結集し、盛大なライブとなった。規模的にも、盛り上がり的にも、過去最大のライブだった。ぼくも、2曲をギターで参加し、3曲はギターボーカルで歌った。とても楽しかった。いつまでこのイベントを続けられるかはわからないけど、体力と資金とゼミ生のやる気がつながる限り、継続したいと思う。何より、一年に一度、卒業生のゼミ生と会って話せるのが嬉しい。4年前のゼミ生が勝手に始めたイベントだけど、とてもうまい企画だと思う。ぼくも、さすがに4年もライブでステージ立っていると、それなりギターもうまくなってきた。初代のギタリストと、二代目のギタリストに「先生、見違えるほどうまくなりましたね」と褒められた。お世辞であっても嬉しいものだ。実は今、トリコの曲を、youtubeに素人がアップしているギターコピーを参考に、練習しているところである。(youtubeのある今は、耳コピできなくてもコピれるから、ほんとにいい時代)。
 最後に、ずっと紹介したいと思っていながら、紹介し忘れていたライブDVDを紹介したいと思う。それは、テイラー・スウィフト「スピーク・ナウ・ワールドツアー・ライブ」だ。
スピーク・ナウ・ワールド・ツアー・ライヴ(DVD付)

スピーク・ナウ・ワールド・ツアー・ライヴ(DVD付)

このライブ映像はあまりにすごい。テイラーが好きであろうが、なかろうが、観る価値がある。なぜならば、とんでもない仕掛けと演出がなされたシアトリカルなライブとなっているからだ。これだけの規模とクオリティのライブはそうそうないと思う。スクリーンを使った「映像的にすごい」ライブならいくらでもあるけど、このライブは、ミュージカル的、演劇的な仕掛けになっているのだ。ぼくは、武道館での同じライブを二階席で観たのだけど、記憶する限り、こんなすごいしろものではなかった。武道館でのライブは、半分ぐらいの規模で実施されたのだと思う。だから、日本でのこのライブを観た人でさえも、このDVDを観る価値がある。
テイラーは、現在、世界で最も売れているアーティストだ。カントリー出身である、というのも異色である。ぼくは、数年前の「Fearless」あたりからファンになって、全アルバムを持っている。アルバム的には昔ほど好きで、完全にカントリーアルバムである「Taylor Swift」が最も評価が高い。でも、このライブDVD「スピーク・ナウ・ワールドツアー・ライブ」は、別格だと思う。ミュージカルとしての完成度がずばぬけているからだ。いったいどのくらいの制作費をかけたのか、というぐらいの美術と、エキストラと、演奏者なのである。
実は、ぼくはミュージカルというものが生まれつき苦手だ。だって、観てるとどうしても笑ってしまうのである。「シェルブールの雨傘」も、「サウンド・オブ・ミュージック」も、「ウェストサイド物語」も、とにかく、登場人物が歌い出すと、笑いがこみ上げてしまって、居心地が悪い。なんで可笑しいのかは、わからないけど、とにかく笑いが止められなくなってしまうのである。そんなぼくが、このライブだけは、「なんか、とても良いなあ」と観られてしまうので、同じ病を抱えている人にはお勧めである。ぼくは、ひょっとすると、これを観たことでミュージカル笑い症が直ったかもしれない。
これだけの激しい演出のミュージカル風ライブで歌うのだから、口パクなのかな、と思うのだけど、たぶん、ちゃんと歌っていると思う。なぜなら、ぼくが武道館で観たときは、「Enchanted」のはじめのところで、マイクに不具合が生じて、テイラーは慌ててマイクを取り替えた。口パクなら気にせず、歌えばよいのだから、ちゃんと歌っているのだと思う。それにしても、このクオリティの歌を踊ったり、演技したりしながら歌うのだから、とんでもない歌唱力だ。とりわけ、途中で、客席の中央部に作った特設の舞台で、アコギやウクレレを弾きながら歌うソロ演奏は、めちゃくちゃすごかった(この部分は、武道館公演でも同じだった)。
 テイラーは、みごとなブロンドと青い瞳を持った美人で、それが世界的な人気を生んでいるのかもしれないけど、そんな美貌はどうでもいいくらいに、とんでもない歌唱力なのである。そういう意味では、万人に安心して勧められるミュージシャンだと思う。