『証明と論理に強くなる』が、刊行されました!!

 ぼくの新著『証明と論理に強くなる〜論理式の読み方から、ゲーデルの門前まで』技術評論社が書店に並んだので、このタイミングで宣伝をしようと思う。前回のエントリーもうすぐ、ぼくの論理学の本が刊行されます! - hiroyukikojimaの日記では、目次をさらしたので、今回は序文をさらしたいと思う。

以下が、序文である。

まえがき   こんな人たちには、本書がお勧め!
 
本書は、数学における証明のやり方と、論理式の扱い方を解説した本です。本書のテーマは、序章に詳しく書きましたから、そちらをご参照ください。ここでは、きっと本書が役立つであろう人々を、タイプ別に列挙することにします。
 
タイプ1  論理式の読解が苦手な方
 数学をはじめとした少なくない数理分野の書籍や講義では、論理式で内容が記述されます。論理式の読解になじんでいないと、「内容がわからない」だけでなく「表記が読めない」という二重苦に陥ります。本書では、論理式の読解法を丁寧に講義します。
 
タイプ2 公務員試験などの論理の問題に苦労している方
 就活や資格試験では、論理の問題が出題されます。これらの問題は、日常言語で記述されていますが、実は数学の論理の問題です。この手の問題は、フィーリングで解いている限り、いつまでたっても上達しません。本書で、論理式の真偽を学べばハウツーが身につけられます。
 
タイプ3 数学の証明を勘でやっている方
 多くの人は数学の証明で苦心していることと思います。しかし、証明とは単なる推論規則の適用にすぎず、実は十数個の規則だけでまかなわれています。一度、その規則をわかってしまえば、証明を読んだり実行したりすることが、かなり楽になるでしょう。
 
タイプ4 中高生に証明や論理を教えるのに苦労している先生方
 中高生の数学の授業で証明や論理を教えるのは、非常に難しい仕事です。ともすると、丸暗記の押しつけに陥り、学生たちを数学嫌いにしてしまいます。本書の中には、証明教育や論理教育のヒントが散りちりばめられています。
 
タイプ5 思考とか認識ってどういうこと?という疑問を持つ方
 私たちが「ものを考える」とは、いったい何をしているのか。これはとても難しい問題です。このような「人間の認識とは何か」を解くカギは、証明と論理の中にあると言っても過言ではありません。
 
これらのいずれかのタイプにあてはまる方は、ぜひ、本書を手にとってみてください。

 実は、今日の日経新聞夕刊の「目利きが選ぶ三冊」のコーナーで、竹内薫さんが書評を書いてくださった。しかも、最も大きな扱いで、さらに☆五つ! ありがたやありがたや。内容も、とても本書の特徴を掴んでいて嬉しくなった。さすが竹内さんだ。アマゾンの在庫があっという間にはけた。すげえ。
 本書のタイトルには、「ゲーデル」がついているけど、正直、それは刺身のつま。本書の意図は、それとは全く別のところにあるのだ。数理論理学の通常の教科書とは、かなり脇道に逸れた書き方をしている。なぜなら、数理論理の学徒に読んで欲しい本ではないからだ。(数理論理とか基礎論の学徒は、啓蒙書なんて読んでないで、ちゃんとした教科書を読みたまえ!)。本書の想定読者は、「論理ってソモソモなに?」「証明するって、ソモソモどういうこと?」って疑問を持つ人たち、ソモソモ人たちなのだ。だから、通常の教科書のように、「これが読解できなんなら、どうせこの分野には向いてないから諦めな」という突き放しかたはしない。それこそ、懇切丁寧に、まるで古文のあんちょこのように、すべての論理式に「逐語訳」がついているから、スラスラと読み進める(はず)。そして、ぼくが過去に抱いたような疑問を抱いている人たちには、かなりの程度で、その疑問に答えていると思う。
 それってどんな疑問?ってことについては、次回にエントリーしようと思う。