酔いどれ日記1

これから、なんか、ブログっぽいことを書こうかな、と急に思い立った。

現在、リースリングの白ワインを3杯と、ペルノ-を2杯目。

飲みながら、チケットを購入した「TK from 凛として時雨」の配信ライブを鑑賞してた。ものすごい出来のライブだった。ゲスの極み乙女のちゃんまりがピアノとサイド・ボーカルでサポートに入ってる。すばらしい。

今日は、高校の同級生Hのことと当時好きだった女子の思い出を書こうと思う。

 高校の同級生だったHは不良っぽい男だった。

ぼくが通った都立高校は、(当時の都立高の)学区の中で一番偏差値の高いところだったけど、まあ、学区が下町だったんで、不良っぽいやつもけっこういた。不良でもそこそこ頭がいいというか、頭がいいけどそこそこ不良というか、そんな感じ。Hはそんな一人だった。バイクに乗るのが趣味だった。

ぼくは中学のとき、同級生の女の子に恋をしていた。別々の高校に進んでもまだ好きだったので、かれこれ6年弱は恋していたんだと思う。彼女は(当時の基準で)美人で、しかも才女だった。絵にも音楽にも才能があった。成績も良かった。学年の3分の2の男子が彼女を好きで、誕生日には処理しきれないほどのプレゼントをもらったみたいだった。ぼくもそんな3分の2の中の名も無い一人だった。ちなみに、彼女はぼくの著作『無限を読みとく数学入門』角川ソフィア文庫に収めた小説中で、Nというキャラクターで登場してる。

彼女は政治的な指向があり、高校生のくせに政治集会なんかに参加していた。ぼくも彼女に誘われて、何回かそういう政治集会に行ったものだった。政治とか革命とかに興味はないけど、彼女とつながっていたい一心だったんだ。

そんなある日、もう覚えていないが、何かの用で、ぼくの高校のそばで彼女と会うことになった。デートというのでは(まったく)なく、本当に何かの用事だったんだと思う。

それで、ぼくの高校のそばの喫茶店で彼女と会ったんだ。

彼女と向かい合って話していると、ちょっと向こうの席に、クラスメイトのHがいることにふいに気がついた。Hはぼくに気がついていた。ぼくらのほうを見ながら、ニタニタしていた。ぼくは、直感的に、「やばいことになった」と悟った。こんなところを目撃されたら、Hが明日学校で何を言いふらすかわかりやしない。もうぼくは、心ここにあらず、という状態だった。

でもHは、翌日、何も言ってこなかった。クラスでも言いふらしたり、しなかった。ぼくは肩すかしを食らったと同時に、Hのことを理解し直さなければならないな、と感じた。でも、そんなチャンスは訪れなかった。

なぜなら、それからほどない頃に、Hが亡くなったからだ。

Hはバイク事故で唐突にいなくなってしまった。道路わきの電柱に激突して亡くなったのだそうだった。担任の教師は、心痛な面持ちで、「とにかく、バイクには乗るな」とみんなを諭した。その担任に個人的に聞いたところでは、Hの事故現場には、自動車に幅寄せされた痕跡があったとのこと。しかし、証拠ははっきりせず、犯人らしきものも不明だということだった。

その後、ぼくは、あの日のHのニタニタ笑いが頭から離れなくなった。記憶の中では、ぼくと女の子Nを眺めながら、Hはずっと笑っている。Hのあの笑みは何だったのだろう。Hはぼくのことをどう思ったのだろう。その謎かけは今でもぼくの中に螺旋を描いている。