新著刊行まであと少し

またまた、だいぶブログを放置してしまったが、その間は、新著のゲラの校正で大変だったのだ。
そのゲラも終わり、もう印刷に回って、刊行されることは99.99パーセント確実になったので、タイトルを発表することにする。二転三転、紆余曲折の末、次のものに決まった。
『数学的思考の技術〜不確実な世界を見通すヒント』
刊行は、KKベストセラーズ、ベスト新書の一冊として、2月9日頃に店頭に並ぶことになっている。
この本は要するに「数学的思考」を読者にお勧めするものだ。ここで、「数学的思考」とは「数学」と似て非なるもの、というのが大事なのだ。実際、本書には数式は全くといっていいほど現れない。「数学的思考」とは、「数学っぽく、ものを見て、数学っぽく、ものを考える」ということを意味することばなのだ。ぼくが書いた今までの数学関係の本で、ここまで数式がないものは初めてだと思う。
で、「数学っぽく」ナニについて語っているのか、というと、「日常の経済」、例えば、年金とかボーナスとか、ロックバンドのギャラとか、そんな卑近な話題に、ゲーム理論的な角度から切り込んだりすることから、「幸せな社会とはどんな社会か」、「デフレはどんな現象か(小野理論) 」をマクロ理論と制度学派の考え方からアプローチするのもあるし、最後には村上春樹文学、例えば『1Q84』『ノルウェイの森』『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を数学的思考で解剖することまで試みている。要するに、一歩ひいて数学っぽく世界をみると、世界がどう見え、世界がどう楽しく、エクサイティングになるか、そういう「考え方の技術」を披露した本、ってのが一番適切な内容紹介かもしれない。
というのも、この本は新書としてはとても斬新になっていて、「どういう本」ということが一言ではいえないのだ。かくいうぼくだって、編集者に最初のプランをもらったときは、彼女が何をしようとしているのか見当がつかなかったぐらいだ。編集者のいう通りに原稿を書きつないで渡し、彼女がそれに手を加え、赤を入れ、順序を入れ替えたりした版をもらって初めて、彼女の目指すところがわかったのだから。そして、わかってみると、これまでぼくが試みたことがない斬新な本だったのであ〜る。まあ、しいて言えば、デビュー作の『数学迷宮』(『無限を読みとく数学入門』角川ソフィア文庫として復刻)が一番近いものかもしれない。
 斬新で思い出したが、YUIの新曲「Your Heaven」は、めちゃくちゃ斬新な曲だ。DVD付きが欲しいから、発売当日に買ったのだけど、あまりのすばらしさに何度リピートをかけたかわからない。冒頭のアコギのアルペジオの透明感といい、ボーカルラインの不思議さといい、YUIにこんな曲がかけるとはびっくり尊敬だったのだ。それもそのはず、たぶん、スウェーデンで北欧の音楽に触れてインスパイアされた曲だから、耳慣れない不思議さが漂う斬新なメロディーになっているのではないか、と思う。
 おまけのDVDは、YUIスウェーデン紀行になっていて、着ている服もかわいくてすばらしいのだが、一番うけたのは、ビデオの画面がぼやけたり、故意に揺らされたりして、船酔い気分になること。これはたぶん、デンマークの天才監督ラース・フォン・トリアーにトリビュートしているんじゃないかな、と思う。

フォン・トリアー監督の映像作品は、テレビシリーズのホラー『キングダム』が有名だけど、ぼくとしては、『奇跡の海』とか、アイスランドの歌姫、ビヨークを主役にした『ダンサー・イン・ザ・ダーク』なんかがとてもお気に入りである。せっかく北欧に行ったんだから、YUIを主役に1本映画を撮ってもらえばよかったのに、とか、虫のいいことを願望したりもした。

っと、話がそれてしまったが、とにかくあれだ、新著『数学的思考の技術〜不確実な世界を見通すヒント』ベスト新書は、YUIの新曲に負けず劣らず斬新な本になったよ、と、手前みそで申し訳ないが、そういうことなのだ。お楽しみに、そういうことなのだ。

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おお、「ぶったぎる」とか編集者が野蛮な語彙で書いてる。いいぞいいぞ。

次は、刊行された頃に詳しく紹介いたそう。