「現実」はすべて統計的

今回は、『現代思想』の最新号「統計学/データサイエンス」で巻頭対談しているので、そのことを宣伝するとともに、少しだけ統計学についてエントリーしようと思う。 現代思想 2020年9月号 特集◎統計学/データサイエンス 作者:小島寛之,三中信宏,赤平昌文,稲…

オイラー素数生成式の思い出

今回は、「オイラー素数生成式」について、出会いと再会を書いてみたい。 その前に音楽の話を一つだけ。前回のエントリー、 ネコの物語が、こよなく好きだ - hiroyukikojima’s blog で、最近、音楽ユニット・ヨルシカが好きだということを書いたが、そのヨル…

ネコの物語が、こよなく好きだ

今回は、いつもと趣向を変えて、ネコにまつわる物語のことをエントリーしようと思う。どうしてそんなことを思い立ったかというと、ネットフリックス配信のアニメ『泣きたい私はネコをかぶる』を最近、観たからだ。 映画「泣きたい私は猫をかぶる」公式サイト…

ルート数のダンジョン、横から見るか、上から見るか。

ずいぶん、間があいてしまったが、今回は「2次体の数論」の話、もっと簡潔に言えば、ルート数の魅力的な世界についてエントリーしようと思う。 その前に、音楽の話をちょっとだけ。 ぼくが、Tricotという日本のバンドを好きなことは何回も書いてきた。例え…

還暦すぎて初めてたどりついたリーマン・ロッホ

大学の講義が5月いっぱいまではオンラインになったため、運動不足をふせぐ目的で、毎日部屋でエアロバイクをこぐことにした。これは、東日本大震災の余震に見舞われていた日々以来、久しぶりのことだ。 バイクをただこぐのは退屈なので、音楽を聴きながら、…

高木貞治『初等整数論講義』の続きで読むべき数学書

前回のエントリーからだいぶ時間が経過してしまったが、予告した通り、小野孝『数論序説』裳華房を紹介しようと思う。この本は、整数論の本だ。そして、ぼくの個人的印象ではあるが、高木貞治『初等整数論講義』共立出版を意識して書かれた本だと思う。そし…

Tricotの無観客ライブは、本当にすばらしかった。

今回は、久しぶりに音楽のことをエントリーする。 話題は、日本のバンドTricotの無観客ライブのこと。 Tricot(トリコ)は、女性3人と男性1人からなるJ-popのバンド。ボーカルの中嶋イッキュウさんは、ジェニーハイで有名になったので、Tricotももっともっ…

多項式版フェルマーの大定理の証明

今回も前回の続きで、河井壮一『代数幾何学』培風館の紹介をしよう。前回のエントリー、 今頃になって、なんでか代数幾何が面白い - hiroyukikojima’s blog を読んでない人は、先に読んでおいてくれるとありがたい。ついでに、黒川信重さんの新著『リーマン…

今頃になって、なんでか代数幾何が面白い

今回は、お正月から読みつないでいる代数幾何の教科書について紹介しよう。読みつないでいるのは、河井壮一『代数幾何学』培風館だ。 現代数学レクチャーズ B 5 代数幾何学 作者:河井壮一 出版社/メーカー: 培風館 発売日: 1979/11 メディア: 単行本 この本…

京都で宇沢先生の思想についてレクチャーします!

来週、京都のお寺で、宇沢先生の思想についてのレクチャーをする。具体的には、 『宇沢弘文を読む』 日時:2月17日(月) 17:00~19:00 場所:法然院 京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町30番地 登壇者:小島寛之(帝京大学 経済学部 教授) 詳しくは、以下のサイト…

WEBRONZAに新しい論考を寄稿しました!

WEBRONZAに、新しい論考を寄稿した。タイトルは、 数学女子に育てたければ、女子校に入れよ - 小島寛之|論座 - 朝日新聞社の言論サイト というものだ。 このブログでは、主に、経済学や数学の理論の紹介、専門書・啓蒙書に対する書評、小説・映画・音楽のレ…

映画『ジョーカー』はすごかった!

年末に家族で映画『ジョーカー』を観に行った。メディアやツイッターで評判を見ていて、気になっていたので、思い切って観に行ってみたのだ。 行ってよかった。いや、行くべき映画だった。 あまりのすごさに打ちのめされた。 昨年観た映画(テレビやレンタル…

離散数学と線形代数と計算量理論の絶妙なコラボ本

今回は、マトウシェク『33の素敵な数学小景』(徳重典英・訳、日本評論社)の紹介をしようと思う。 33の素敵な数学小景 フィボナッチ数、タイル張り、アルゴリズムを線形代数で眺めてみると… 作者:J. マトウシェク 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2014/0…

二つの雑誌に寄稿しています!

現在、書店に並んでいる二つの雑誌に寄稿しているので、宣伝しようと思う。 ひとつは、『現代思想12月号 巨大数の世界』で、もうひとつは『現代化学12月号』だ。 現代思想 2019年12月号 特集=巨大数の世界 ―アルキメデスからグーゴロジーまで― 作者: 鈴木真…

経済学で最も大事だと思うこと

前回のエントリー、 宇沢先生のシンポジウムに登壇します! - hiroyukikojima’s blog で、宇沢先生の追悼イベントAll About Uzawaに登壇することを告知した。そこで、学会だけでなくテレビでも大活躍の阪大の経済学者・安田洋祐さんと(および作家の佐々木さ…

宇沢先生のシンポジウムに登壇します!

今週末、10月26日土曜日に、 「宇沢弘文没後5年追悼シンポジウム All ABOUT UZAWA」 が開催される。ぼくも一つのセッションに登壇する予定なので、大々的に宣伝したい。 詳しくは、以下で。 allaboutuzawa2019.peatix.com ぼくは、プログラム2「 宇沢が考え…

今回のミクロ経済学の教科書はどこが「斬新」なのか!

やっと、書店に新著『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』講談社が並んだ。前回のエントリー、 ミクロ経済学の教科書を書きました! - hiroyukikojima’s blog では、序文をさらしたので、今回はこの教科書に導入した工夫と込めた思いについてエントリーし…

ミクロ経済学の教科書を書きました!

前回のエントリー 来週、統計学の新書が刊行されます! - hiroyukikojima’s blog で予告した通り、ミクロ経済学の教科書が今週末に刊行されるので、その宣伝をしたい。タイトルは、『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』講談社、である。いやあ、これも編…

来週、統計学の新書が刊行されます!

この10月上旬には、ぼくの新著が二冊、同時に刊行される。一冊は統計学の新書、もう一冊はミクロ経済学の教科書だ。いろいろな事情があって、刊行時期が重なってしまった。 というわけなので、今回は、先に刊行される統計学の新書のほうを紹介し、次回に、ミ…

『大学への数学』9月号、10月号は是非読むべし

『大学への数学』東京出版は、高校生向けの受験雑誌だが、単に受験技術を身に着けるだけの雑誌にとどまらない。そのことは、前回、 面白さ満点の『零点問題集』 - hiroyukikojima’s blog にも書いた。今回は、それを受ける形で、先月に出た9月号と今月の1…

面白さ満点の『零点問題集』

今回は、黒川信重『零点問題集 ゼータ入門』現代数学社を紹介したい。 黒川さんは、これまでたくさんの著作を発表しており、ほとんどすべてがゼータ関数に関するものだ。本書ももちろん、ゼータ関数についての本ではあるが、「問題集」である、という点が異…

高木貞治の数学書がいまさら面白い

昨日、『天気の子』を観てきた。渋谷で夕方に観たんだけど、満員だった。客は若い子たちが大部分だという印象だった。 『君の名は。』も大好きだったが、『天気の子』も同じくらい好きな作品だった。とにかく作画がすばらしい。これがアニメか、と思えるくら…

文春に書評を寄稿しました!

『週間文春』7月18日号に書評を寄稿した。 評した本は、ジョージ・ギルダー『グーグルが消える日』SBクリエイティブ。 書評は、以下の文春オンラインで読めるので是非。 「古臭いビジネスモデルはもうすぐ消える?」 グーグルを滅ぼす新勢力とは何か | 文…

『完全版 天才ガロアの発想力』のお勧めポイント

『完全版 天才ガロアの発想力』技術評論社が、アマゾンにも入荷され、書店にも並んだので、前回に引き続いて、今回も宣伝をしたい。 【完全版】天才ガロアの発想力―対称性と群が明かす方程式の秘密― 知の扉 作者: 小島寛之 出版社/メーカー: 技術評論社 発売…

『完全版 天才ガロアの発想力』が今週末に刊行されます!

今週末、7月6日に、『完全版 天才ガロアの発想力』技術評論社が刊行される。これは、2010年に刊行された拙著『天才ガロアの発想力』技術評論社の完全版だ。 【完全版】天才ガロアの発想力 ―対称性と群が明かす方程式の秘密― 作者: 小島寛之 出版社/メーカ…

『楕円曲線と保型形式のおいしいところ』のおいしいところ

今、D.シグマ『楕円曲線と保型形式のおいしいところ』暗黒通信団を少しずつ読んでいる。これは、息子が父の日のプレゼントに買ってきてくれた本なのだ。 というのも、以前、息子がコミケに行くとき、暗黒通信団のブースも見てくる、というので、この本の購入…

チェビシェフの定理のラマヌジャンの鮮やかな証明

前回も書いた通り、素数についての啓蒙書を書く準備をしているので、いろいろ資料を集めている。「リーマン予想」にかかわるゼータ関数関係は、黒川先生の著作がたくさんあり、それでカバーできるので準備は十分。でも、「双子素数」関連の解説も入れたいと…

『リーマンの夢』とメルセンヌ素数予想と

今回は、黒川信重『リーマンの夢』現代数学社についてエントリーしよう。 この本は、一昨年(2017年)に刊行なので、少し時間がたってしまった。入手当時も一読しているが、今ぼくは素数についての啓蒙書を準備していることもあり、再読してみたのだ。すると、…

複素関数を感覚的に理解するには

このところ、複素関数論(複素解析)を復習してた。 というのは、素数についての本格的入門書を執筆中だからだ。ぼくは、一昨年(2017年)に『世界は素数でできている』角川新書を刊行した。この本は、素数について、お話だけじゃなく、ある程度きちんと理論の中…

『フランダースの犬』と社会的共通資本の理論

今回は、ウィーダ『フランダースの犬』について語ろうと思う。それも、この物語が宇沢弘文先生の社会的共通資本の理論の根拠づけになるんじゃないか、というちょっと突飛な視点だ。 ちなみにこのことは、前から考えていたんだけど、先日の資本主義研究会での…