久賀道郎『ガロアの夢』

自著の販促はしつこいと嫌われるので、そろそろやめて、別の話題に移ろう。 今回は、久賀道郎先生の名著『ガロアの夢』がちくま学芸文庫から復刻されたことを祝してこの本についてエントリーしたいと思う。 実は、久賀先生は宇沢弘文先生の親友で、宇沢先生…

石川経夫『所得と富』

今回も引き続き、拙著『シン・経済学~貧困、格差および孤立の一般理論』帝京新書の販促をしよう。これまで、これとこれとこれでもすでに販促のエントリーをしている。 シン・経済学 ー貧困、格差および孤立の一般理論ー (帝京新書 004) 作者:小島寛之 帝京…

医療ベース資本主義

前々回と前回に続いて、新著の宣伝をしよう。新著は、『シン・経済学~貧困、格差および孤立の一般理論』帝京新書だ。この本では、貧困と格差と孤立を解決(ないし、緩和)する経済政策として、宇沢弘文先生の「社会的共通資本の理論」を推奨することに主眼が…

値段のないもの価値

いよいよ、ぼくの新著『シン・経済学~貧困、格差および孤立の一般理論』帝京新書が書店に並び、アマゾンにも入荷されたので、満を持して販促することにしよう。 その前に、ショックだったことをひとつ。それは、チバユウスケさんが亡くなったこと。彼の音楽…

シン・経済学

前回のエントリーでお知らせしたように、ぼくの新著が刊行される。刊行まであと一週間ぐらいになったので、販促を始めようと思う。タイトルは『シン・経済学~貧困、格差および孤立の一般理論』帝京新書である。 シン・経済学 ー貧困、格差および孤立の一般…

整数の中のランダム性

今年は、夏からあまりに忙しくて、このブログを更新する時間が取れなかった。 忙しさの最も大きな要因は、新書を書いていたことだ。しかも、普通の新書とはわけが違う。ぼくの勤務する帝京大学が、このたび、帝京大学出版会を立ち上げる運びとなった。そして…

2平方定理の幾何的証明

今回は、「2平方定理」について、数学書の中に幾何的証明を見つけたので、そのさわりの部分を紹介したい。読んだ本は、キャッセルズ『楕円曲線入門』岩波書店だ。この本は、楕円曲線(で定義される曲線)の数論を解説した本だが、p進体上の楕円曲線も含むのが…

万物は固有値である

最近は、NHK以外の地上波がおそろしくつまらないので、ケーブルTVで海外ドラマばかりを観ている。めっちゃ面白かったのは、『ナンバーズ』一挙放映と『アストリッドとラファエル』一挙放映だ。 『ナンバーズ』はFBI捜査官の兄と天才数学者の弟が協力して難事…

社会的共通資本を考える シリーズ1第2回『自動車の社会的費用』を読む、に登壇します。

京都大学社会的共通資本と未来寄附研究部門が主催する公開講座シリーズ、社会的共通資本を考える シリーズ1第2回『自動車の社会的費用』を読む、に登壇します。来週、3月28日(火)19:00~20:30です。興味あるかたはふるってご参加ください。以下は、京都大…

社会的共通資本を考える シリーズ1第2回『自動車の社会的費用』を読む、に登壇します。

京都大学社会的共通資本と未来寄附研究部門が主催する公開講座シリーズ、社会的共通資本を考える シリーズ1第2回『自動車の社会的費用』を読む、に登壇します。来週、3月28日(火)19:00~20:30分です。興味あるかたはふるってご参加ください。以下は、京都…

ドラマ総集編のようなすばらしい現代数論の入門書

今回エントリーするのは、山本芳彦『数論入門』岩波書店だ。この本は以前にも、このエントリーで紹介しているが、今回は違う観点から推薦したいと思う。 数論入門 (現代数学への入門) 作者:山本 芳彦 岩波書店 Amazon ゆえあって、最近またこの本を読み始め…

「知らなきゃならない」から「知りたい」へ

ちょっと前から自分の勉強法が変わって、昔の(学部時代の)自分への後悔をすることがたびたびある。今回のタイトルがそれ。昔の自分は数学について「知らなきゃならない」ことに責め立てられて、焦燥感の海で溺死した。もしも「知りたい」という欲求の中で勉…

受験数学から最先端数学へ

今回は、黒川信重『オイラー積原理』現代数学社の一部を紹介しよう。この本は、雑誌「現代数学」の一年間の連載をまとめたものだ。 オイラー積原理 素数全体の調和の秘密 作者:黒川 信重 現代数学社 Amazon オイラー積とは、オイラーがゼータ関数を全素数を…

酔いどれ日記25

今夜はブルゴーニュ・ピノノワールを飲んでる。おつまみは柿ピー。 今回は、群論のことを書こう。 最近、群論が楽しくて仕方ない。今読んでいるのは、遠い昔に買っておいた浅野・永尾『群論』岩波全書だ。 群論 作者:浅野 啓三 岩波書店 Amazon この本は、30…

酔いどれ日記24

今夜は、シャンパンを飲んでる。BENOIT LAHAYEというの。色がきれいで味もふくよかで美味しい。 朝日新聞10月12日朝刊の原真人さんの多事奏論の中に、ぼくへのインタビューが挿入された。この記事は、バーナンキのノーベル経済学賞受賞に疑義を放ち、さらに…

酔いどれ日記23

今夜はブルゴーニュのピノノワールを飲んでる。LA Mountonniereというの。高価じゃないけど、なかなかの味わいだ。 今回はまず、最近ハマっているライブ映像について話そう。 それは、ずとまよ(ずっと真夜中でいいのに)のライブ・ブルーレイ「鷹は飢えても踊…

読むだけでわかる代数幾何の本

今回は久々に数学のことをエントリーしよう。 いろいろわけあって、いま、40年ぶりに代数幾何の勉強をしている。このことは、以前にも、今頃になって、なんでか代数幾何が面白いでエントリーしたので読んでほしい。あるいは、かなり昔のエントリーだが、数学…

酔いどれ日記22

前回から、だいぶ間があいてしまった。今夜は、サンテミリオンのClarendelleという赤ワインを飲んでる。サンテミリオンはもともと好きな産地だけど、このワインもコスパの点で良い。 先日、アマゾン・プライムで映画「コーダ あいのうた」を観た。これは、聾…

酔いどれ日記21

今夜のワインは、Massaiという赤ワイン。値段のわりには複雑な味わいがある。久々に音楽のことを書こう。 最近、ヨルシカのライブ映像『月光』を観た。これは、今年の3月に行われたライブを収録したもの。あまりのすばらしさにもう10回以上観ている。水族館…

京都大学寄付講座のシンポジウムに登壇します。

前回エントリーした通り、創設された「社会的共通資本と未来寄附研究部門」のシンポジウムに登壇することになりました。申し込みは、 www.kyoto-u.ac.jp のホームページから出来ます。あるいは、直で下のリンクから申し込みできます。 『社会的共通資本と未…

国際経済の方程式

まず最初に、ぼくが登壇予定のシンポジウムの宣伝をしよう。 『社会的共通資本と未来』寄附研究部門開講記念シンポジウム (タイトル)社会的共通資本のあり方とその未来を考える (開催概要)2022年7月23日土曜日 13~17時 (開催場所) 京都大学・稲盛財団記…

酔いどれ日記20

今夜は、最初に、シャンパンのBliard-Morisetというのを飲んでる。実にうまい。 最近、2本の映画を観たのだけど、今日はそのうちの1本、映画「ZAPPA」のことをエントリーしよう。 新宿の映画館で観た。もう上映期間も終わりに近づいているので、客は数人だっ…

酔いどれ日記19

今夜は、アイラウイスキーのハイボールを飲んでいる。それは、焼肉を食べにいって、生ビールをしこたま飲んだので、ワインを経由せずに仕上げにかかっているからだ。 さて、先日、庵野さんの映画「シン・ウルトラマン」を観てきた。非常に面白かった。堪能で…

酔いどれ日記18

今夜のワインは、リースリングの白ワイン。Roche Calcaireというもの。爽やかで、今日の気候にはちょうど合う。 それにしても、最近の民放のテレビ番組のつまらなさはとんでもない状態で、NHKしか観なくなってもうた。NHKにもいろいろ政治的な意味で問題の大…

酔いどれ日記17

今夜はシャンパンを飲んでいる。DRAPPIERというやつで、そんなに高価ではないが、なかなか美味しい。いい具合に酔っ払っている。 今回は、数学における「完全系列」のことを書いてみたいと思う。 完全系列というのは、というふうに、集合が準同型写像(,,,)で…

酔いどれ日記16

このところ、ずっと小野善康さんの『資本主義の方程式』についてエントリーしてて、まだ、1,2回、論じたいことがあるんだけど、今夜はまた、酔いどれ日記のほうに戻ろうと思う。(書評は、書くのに緊張感が必要なので、疲れるんだよね)。 今夜は、カオールの…

ケインズ消費関数のどこが間違いか?

今回も、前回に引き続いて、小野善康『資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く』中公新書の紹介をする。ただし、説明の重複によって長くなるのを避けるため、前回のエントリーは前提として書くので、読者は前回のエントリーと行きつ戻りつしながら読…

資本主義の方程式

今回は、前回に予告した通り小野善康『資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く』中公新書の紹介をしよう。一回ではまとめきれないので、何回かに分けて紹介するつもりだ。 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く (中公新書) 作者:小野善康 …

酔いどれ日記15

今夜はSaumurの白ワインを飲んでる。不思議な香りがあって好み。 このところ、ずとまよ(ZTMY;ずっと真夜中でいいのに)の新譜「伸び仕草懲りて暇乞い」におまけでついているBDを繰り返し観まくっている。これは、ブルーノート東京で行われた無観客のライブ映…

双子素数はどの程度の割合で存在するか?

今回は、ひさびさに、数学ネタをエントリーしよう。それは「双子素数」に関することだ。 双子素数とは、差が2の素数のペアのこと。一番最初は、3と5だ。次は5と7。その次は11と13になる。双子素数について最も有名な予想は「双子素数予想」と呼ばれるもので…