2016-01-01から1年間の記事一覧

もはや思想書と呼ぶべき数学書

今回は、黒川先生の新著である黒川信重『リーマンと数論』共立出版をエントリーしよう。 この本は、「リーマンの生きる数学」というシリーズものの第1巻。リーマン歿後150年を記念して刊行が開始されたシリーズだ。第1巻の本書は、リーマンのゼータ関数か…

スティグリッツさんの宇沢先生を思う気持ちに心が熱くなる

宇沢先生の新著が刊行された。タイトルは、『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』東洋経済新報社だ。宇沢弘文 傑作論文全ファイル [ 宇沢 弘文 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 4,860円本書は、宇沢先生のパソコンに記憶され…

ウィトゲンシュタイン哲学を学んだ日々の思い出

昨日(11月10日)の朝日新聞・朝刊の文化面に、「ウィトゲンシュタインに光」という記事が掲載され、それにぼくのコメントが(一言だけど)載った。この記事は、ウィトゲンシュタインの遺稿が最近、発掘され、彼の哲学に新たな光があたった、という内容の記事だ…

ドラマ『地味にスゴイ!』は、派手に面白い!

今期のドラマでは、日テレの『地味にスゴイ!校閲ガール 河野悦子』が、めちゃめちゃ面白い。とりわけ、自分が出版にかかわってきただけに、笑えるところ、身につまされるところが満載である。 主役の河野悦子を演じている石原さとみさんが、もうサイコーで…

21世紀の数学原論

今回は、黒川信重先生の新著『絶対数学原論』現代数学社を紹介しよう。絶対数学原論 [ 黒川信重 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 2,484円 その前に、全く関係ないけど、映画『君の名は。』の感想を述べ…

数学の未解決問題は、今と昔でどう違うか

今回のエントリーは、雑誌『現代思想』青土社の増刊号『未解決問題集』について。これは、現代における数学界の未解決問題について、特集を組んだものだ。現代思想 2016年10月臨時増刊号 総特集◎未解決問題集[本/雑誌] / 青土社ジャンル: 本・雑誌・コミック…

ぼくの統計の本が、オーディオブックになりました!

ぼくの書いた統計学の教科書『完全独習 統計学入門』ダイヤモンド社が、オーディオブックになった。 せっかくだから、リンクを貼ろう。 「完全独習 統計学入門」のオーディオブック - audiobook.jp オーディオブックというのは、本の内容を音声にしたもの。…

諦めなければ夢はかなう。望んだ形ではないかもしれないけど。

今回のエントリーは、親しいミュージシャンの売り込みだ。その娘は、ぼくの元ゼミ生。今は、CDデビューをして、プロのミュージシャンとして活動している。ライブハウスを回ったり、路上ライブをしている。 名前は、卯月沙羅さん。ピアノの弾き語りをしている…

シン・ゴジラ観てきた。シン・ゴジラ観るべし

先週、映画『シン・ゴジラ』観てきますた。 みんな、『シン・ゴジラ』、すぐに観たほうがいいと思う。だってさ、君は来週に不慮の事故かなんかで、死んじゃうかもしれないんだよ。そうしたら、『シン・ゴジラ』観ないまま、人生が終わるんだよ。それってめっ…

10を聞いても1しかわからない人のためのゼータ関数入門

8月がこんなに忙しい年は初めてで、今まで、全くブログを更新する余裕がなかった。 今回は、更新できない間に、ちょこまか読んだ数学書、小山信也『素数とゼータ関数』共立出版の紹介をしよう。【送料無料】 素数とゼータ関数 共立講座 数学の輝き / 小山信…

今日は、新代田でTricotを観てきた。

前回(この世で観られる最高の音楽〜Tricot - hiroyukikojimaの日記)に続いて、今回もTricotのライブ・レポートのエントリーをしよう。 今日は、新代田フィーバーで、Tricotの演奏を観てきた。 本当は行く予定ではなかった。実際、期末テストを昨日で終えて、…

この世で観られる最高の音楽〜Tricot

先月と今月に、Tricotのライブに行ってきた。 先月は赤坂ブリッツのワンマン、今夜は代官山ユニットで対バンライブ。今夜のライブは、イギリスで活動する日本人バンドBo ningenとの対バンだった。どちらも最高の演奏だった。Tricotのライブは、おおよそ、こ…

有名定理にも、短くて、わかりやすい証明が必要なのだ

今回は、芳沢光雄さんの名著『群論入門』ブルーバックスを紹介しようと思う。 この本は、ずいぶん前に入手したのだけど、読んだ期間が飛び飛びだったので、なかなか紹介のチャンスがこなかった。でも、すばらしい本なので、やっと紹介できて嬉しい。群論入門…

P≠NP問題がざっくり理解できる本

* 追記(6月27日) 最後の紹介した「約数ゲーム」について、メールで解答を教えてくれた人がいたので、最後に追加しました。 最近、野崎昭弘『「P≠NP」問題』ブルーバックスを読んだので、レビューをエントリーしようと思う。 そもそも、この本を読もうと思っ…

久々に音楽のレビューを書く

このところ、数学関係のエントリーが続いたので、閑話休題、久々に音楽のレビューを書くことにする。 先週、ジャズのライブに行った。ギタリストのマイク・スターンのバンドに、ゲストとしてギタリストの渡辺香津美が加わったライブだった。 いやあ、めっち…

数学は遠きにありて想うもの

実は、また、数学者たちと鼎談をすることになり、そのお題のために、リーマン面・層・コホモロジー群・スキームの勉強を再開した。 リーマン面というのは、ごく小さい部分だけを局所的に見ると「複素平面」と同一視できるような空間のこと。逆に言うと、複素…

メルセンヌ素数とリュカ=レーマー判定法と、そしてペル方程式と

「最大の素数が更新された」という報道が今年の1月24日の朝日新聞朝刊でなされたことは、当ブログでも、また、最大の素数が更新された! - hiroyukikojimaの日記でエントリーした。これは2233万ケタという巨大な素数で、アメリカのセントラルミズーリ大学の…

等差数列の中の素数からラングランズ予想へ

もう、すいぶん前、1年以上前に、黒川信重『ガロア表現と表現論』日本評論社の一部を紹介した(ガロアの定理の短めの証明が読める本 - hiroyukikojimaの日記)。このときは、「ガロアの基本定理」、すなわち、「代数拡大体の中間体と、その自己同型群の部分群…

スティグリッツの思想

前々回に、スティグリッツの講演を聴いてきた話を書いた(スティグリッツ氏の講演を聴いてきた - hiroyukikojimaの日記参照のこと)。それは、故・宇沢弘文先生のメモリアル・シンポジュウムでの講演だった。ぼくは、以前に、スティグリッツの『世界を不幸にし…

テレ東ドラマ『電子の標的2』に協力をしました

昨日、テレビ東京系で放映された水曜ミステリー9『電子の標的2』に、数学監修という立場で、協力した。 水曜ミステリー9:テレビ東京 これは、サスペンススタイルのミステリー物の2時間ドラマ。去年に放映された『電子の標的』の続編にあたる作品。 本当は…

スティグリッツ氏の講演を聴いてきた

昨日、宇沢弘文教授メモリアル・シンポジウム「人間と地球のための経済 ― 経済学は救いとなるか?」が、国連大学で開催されたのに行ってきた。(人間と地球のための経済 ― 経済学は救いとなるか? - 国連大学参照)。主催は、宇沢先生の思想の普及を目標とする…

マクロ経済学の新時代への教科書

このところ、ずっと数学方面の話題ばかりエントリーしていたので、今回は久しぶりに経済学の書籍を紹介しようと思う。 紹介する本は、マクロ経済学の初級の教科書で、柴田章久・宇南山卓『マクロ経済学の第一歩』有斐閣だ。マクロ経済学の第一歩 (有斐閣スト…

黒川信重さん、加藤文元さんとトークイベントをしてきました!

先週の金曜日、2月18日に、神保町の書泉グランデにて、トークイベントに参加した。 前回(素数の個数が、自然対数(log)で表せるのはなぜか - hiroyukikojimaの日記)に告知した通り、東工大の数学者である黒川信重先生と加藤文元先生のトークに飛び入りという…

素数の個数が、自然対数(log)で表せるのはなぜか

今回も、前回に引き続いて、素数のことについて書こうと思う(前回のエントリーは、また、最大の素数が更新された! - hiroyukikojimaの日記)。 最近、素数に興味を持っているのには、二つの理由がある。 第一は、受験雑誌『高校への数学』東京出版に、新年度…

また、最大の素数が更新された!

また、最大の素数の記録が更新された。朝日新聞の1月24日の記事によると、2233万ケタの素数が発見され、確認された、とのことである。2013年に更新されたあとの3年ぶりの更新となる。いやあ、めでたいめでたい(何がめでたいのかは、うまく言えないが、とにか…

リーマンについての鼎談と、NHKの番組でのイギリス数学者の発言のこと

久しぶりの、そして、今年初めてのエントリー。このブログには、月に最低2回はエントリーをしたいと思ってるんだけど、1月は期末試験やらセンター試験やらでなかなか余裕がなかった。まだ、期末試験の採点の最中だけど、やっとエントリーする時間ができた。…