2009-01-01から1年間の記事一覧

女子系数学書の誕生〜「式で書けること」と「計算できること」は違う

昨日(12月20日)の日経の朝刊に、ぼくの書いたマーシャ・ガッセン『完全なる証明』文芸春秋社の書評が掲載されたのだけど、読んでいただけただろうか。ぼくの新聞書評デビューとあいなった。これは、ポアンカレ予想のペレルマンによる解決にまつわるルポルタ…

久しぶりに近況です

いやあ、なんだかいろいろとあって、なかなか更新できなかった。 今日も、まだ、いろいろあるので、濃厚な日記を書くことができないので、「生きてますよ〜」程度の近況報告をば。最近での一番の衝撃は、パラモア(Paramore)の再来日だね! おととしは、それ…

数学は言葉

一般の人が、数学を本を読んで理解しようとするとき、二つの障壁を乗り越えねばならない。一つは、語られている概念が抽象的であること、そしてもう一つは、それを語っている「言葉」が数式というこれまた「読みにくい言語」だ、ということだ。書き手が後者…

恐怖のリフレー・ザ・グレートの巻

飯田泰之さんが、ぼくの新著『使える!経済学の考え方』ちくま新書の書評を以下のように書いてくださった。 2009-10-24 ぼくの経済本のベストだというお褒めは、とても嬉しく、照れてしまう。飯田さんは、今をときめく経済学者で、次期の経済論壇を担うであ…

経済学はニセ科学?インチキ医療?

シノドス(Synodos)というところで、レクチャーをすることになりました。 以下のような具合です。 小島寛之「経済学はニセ科学?インチキ医療?― 確率論が拓く経済学の未来」 司会 : 飯田泰之 日時 : 2009年11月29(日)15時〜17時 場所 : シ…

小飼弾さんの書評に恐れ入るの巻

小飼弾さんが、ぼくの新著『使える!経済学の考え方』ちくま新書に書評を書いてくれた。 404 Blog Not Found:数理は有利 - 書評 - 使える!経済学の考え方 小飼さんは、今年出たぼくの4冊の本のうち、3冊を書評してくださってて、そのどれもがすばらしいんだ…

『使える!経済学の考え方』が出ましたよ

いよいよ、ぼくの新著『使える!経済学の考え方〜みんなをより幸せにするための理論』ちくま新書、が書店に並びはじめた。アマゾンにも入荷されたようだ。待ちに待ったこのときがきた。なぜなら、やっと経済学と銘打つ本で、自分で納得いく本を出すことがで…

『1Q84』はどんな位相空間か

ずいぶん、ブログを留守にしてしまった。明日あたりからぼちぼち、ぼくの新著 『使える!経済学の考え方〜みんなをより幸せにするための論理』ちくま新書、 が店頭に並ぶと思う。これは、ぼくの経済学の本の中では、今までで一番力作であると自負してるのだ…

数学セミナーの思い出

久しぶりに『数学セミナー』に記事を書いた。今、店頭にある2009年10月号。 記事は、「遠山啓氏の思想から見えるもの」で、遠山啓氏生誕100周年の記念特集の一つである。今では、あまり知られていないかもしれないが、この雑誌の初期の責任編集は、遠山啓と…

無限を読みとく数学入門〜世界と「私」をつなぐ数の物語

『無限を読みとく数学入門〜世界と「私」をつなぐ数の物語』角川ソフィア文庫がアマゾンにも入荷され、書店にもぼちぼち並び始めると思うので、いよいよ宣伝攻勢をかけよう。 いやあ、感慨深い! とにかく感慨深い! 18年前のぼくのデビュー作『数学迷宮』の…

論理パズルを攻略するテクニック

来週、いよいよ、ぼくの単行本デビュー作『数学迷宮』の復刻版『無限を読みとく数学入門』角川ソフィア文庫が刊行される!これは待ちにまった瞬間だ。この本は、ぼくにとって最も大事な本だからだ。そして、いまだに乗り越えることができないぼくの最高傑作…

問題解きの効能のあれやこれや

前回の日記、『キュートな数学名作問題集』出ました! - hiroyukikojimaの日記、では、新著の内容の紹介を書いたので、今日はちょっとちがった観点から、この本でのぼくのテーマについて書いてみようと思う。それは、日本には、「楽しい問題」「ツボをつく問…

『キュートな数学名作問題集』出ました!

ぼくの新著『キュートな数学名作問題集』ちくまプリマー新書が、今日あたりからぼちぼち書店に並び始めるはずである。アマゾンにはもう入荷されたようだ。キュートな数学名作問題集 (ちくまプリマー新書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 200…

楽しい問題集

いやあ、めちゃめちゃ忙しくて、ずっとブログを更新できなかった。 やはり、4ヶ月で4冊の本を刊行する、という計画が無茶だった。ゲラがとっかえひっかえやってくる。ターミネーターみたいに、やっつけてもやっつけてもまだまだやってくる。各ゲラを2、3回ず…

経済の動向を「内部から」観測するということ

リーマンショック以来の経済危機を、固唾を呑んで見守って来て、今、思うところがある。それは、経済の動向を「内部から」観測することと、「外部から」解釈する、言葉を変えるなら、「後付けする」ことの違いである。 例えば、シラーの本『根拠なき熱狂』に…

数学者が数学を「語る」ことの良さ

数学者・黒川信重さんと、ぼくとの共著、『リーマン予想は解決するのか?』青土社、がそろそろ書店に並び始めてる頃だと思う。これは、フェルマー予想が解決し、ポアンカレ予想が解決してしまった今、最も解決が待望され、しかも、解決にかなり肉薄している…

「無限」に挑む物語

いやあ、めちゃめちゃ忙しくて、かなりブログをご無沙汰しちゃってる。 なにせ、ぼくの新著が、6月からの4ヶ月で四冊も矢継ぎ早に刊行される予定なので、原稿の校正とゲラの校正が途切れなくやってくる。そればかりか、朝日新聞のコラム「小島寛之の数学カフ…

現代思想『特集ケインズー不確実性の経済学』

現代思想2009年5月号『特集ケインズー不確実性の経済学』がそろそろ書店に並んでいる頃だと思う。 この特集にはぼくも参加しているが、ぼく以外のメンバーがあまりにすごい。伊藤光晴、宇沢弘文、小野善康、伊藤邦武、平井俊顕などである。めちゃめちゃ豪華…

朝日新聞で連載が始まりました。

今日の朝日新聞の朝刊から、科学欄で、ぼくの連載、 「小島寛之の数学カフェ」 が始まった。毎週火曜日の朝刊にて連載。少なくとも2ヶ月ぐらいは続くんじゃないかな、と思うけど、詰まらなくて打ち切りになる可能性もある。 アスパラクラブサイト統合完了の…

0.999・・・は1と等しいか

刊行からだいぶたってしまったが、吉永良正さんの『アキレスとカメ』講談社というたいへん楽しい本を紹介しよう。 吉永さんは、ぼくが東京出版の受験雑誌『大学への数学』や『高校への数学』に連載し出した頃、同じように連載を持った人だが、サイエンスライ…

ケインズ芸人と呼ばないで

ケインズ関係で稼いじゃってる。まことにすいまメ〜ン。 ある時期から、一貫してケインズ『一般理論』の批判者でいたつもりなのだが、いつのまにかケインズ擁護者、ケインズ一味になってしまってた。『容疑者ケインズ』プレジデント社が刊行された時期が、リ…

資本主義の二つの顔

プレジデントロイターというところで、ぼくの「ケインズ再降臨!」という連載が始まった。その第1回はhttp://president.jp.reuters.com/article/2009/03/02/A4C5F0AC-03E2-11DE-AB58-C2F93E99CD51.phpである。要するに『容疑者ケインズ』プレジデント社の紹…

やっぱり高校生への講義は楽しいの巻

今日は、茨城県の高校生向けの公開講座をしてきた。興奮さめやらぬうちに感想をば。 茨城県の開催する「午後のMathematics Cafe」という企画で、県全体の数学に関心のある高校生を対象にした啓蒙的なレクチャーだ。100人もの高校生が聴きに集まってくれた。 …

数学への恋心

今週末に、数学者の黒川信重先生と二度目の対談をする。 一度目は、数学のフィロソフィー - hiroyukikojimaの日記で書いた通り、雑誌『現代思想』での数論の特集号でだった。今回は、雑誌ではなく、書籍を作ろうという企画である。リーマン予想誕生150周年を…

ブドーカンがいかに特別か

今日は、年末に書いた日記YUIとネットで傷ついている人たちに贈るスレッサーの小説 - hiroyukikojimaの日記に関連したネタを書こうと思う。 このところ、ライブや芝居に行く気力がとんとうせてしまって、ライブは去年はほんの数回しか行っておらず、芝居など…

スターリングエンジンと熱力学

小学生の息子に、彼が欲しがっていた「大人の科学」のスターリングエンジンが、サンタさんからプレゼントされた。大人の科学マガジン Vol.10 ( スターリングエンジン ) (Gakken Mook)作者: 大人の科学マガジン編集部出版社/メーカー: 学研プラス発売日: 2005…