2024-01-01から1年間の記事一覧

再び、東大駒場の講義から稀代の名著が誕生

今回は、三枝洋一『数論幾何入門』森北出版を紹介したい。この本は一言で言えば、保型形式と楕円曲線についての入門書なのだが、とんでもなくわかりやすく書かれている。まえがきによれば、「東京大学教養学部前期課程の全学自由研究ゼミナールで大学1・2年…

突然、束論に目覚めた

前回のエントリーからずいぶん時間が空いてしまった。大学では特任教授になって、講義コマ数と出勤日数が減ったから大きな余裕ができるはずだったのだが、新しい仕事が入ったり、共同研究が増えたりして、逆に忙しくなってしまったのだ。それでブログの更新…

現在は、バブルや否や

先週の月曜日、8月5日に株価の4451円の暴落が起きた。その前に8月2日にも2216円の下落となっているので、合計するとすさまじい値下がりだ。これを日銀の利上げや植田総裁の発言のせいだと非難する人たちもいるし、単なる短期的な調整と見る投資関係者もいる…

とにかく、三度の飯よりフェルマーが好きだった

今回は、昔話を書こうと思う。 少年の頃は、とにかく数学者フェルマーが好きだった、という話だ。 その話の前に前回に続いて、市民講座の宣伝をば。 生涯学習の市民講座である早稲田エクステンションセンターでぼくがレクチャーする一般人向けの夏期講習。そ…

遠山啓『初等整数論』

今回は、最近出版された遠山啓『初等整数論』ちくま学芸文庫の紹介をしよう。最近出版された、と言っても、初版は『数学セミナー』での1969年から1970年の連載を1972年に日本評論社から刊行したものであり、その文庫版ということになる。嬉しいプレミアムと…

集合と位相の名著2冊

前回から、かなり間が空いてしまった。 今回は「集合と位相」の本を紹介しようと思う。 その前に、昨日、劇作家・唐十郎さんの訃報に接したので、唐さんの芝居の思い出を書こう。 唐さんの演劇を観たのは、1980年から1983ぐらいが中心だったと思う。たぶん、…

久賀道郎『ガロアの夢』

自著の販促はしつこいと嫌われるので、そろそろやめて、別の話題に移ろう。 今回は、久賀道郎先生の名著『ガロアの夢』がちくま学芸文庫から復刻されたことを祝してこの本についてエントリーしたいと思う。 実は、久賀先生は宇沢弘文先生の親友で、宇沢先生…

石川経夫『所得と富』

今回も引き続き、拙著『シン・経済学~貧困、格差および孤立の一般理論』帝京新書の販促をしよう。これまで、これとこれとこれでもすでに販促のエントリーをしている。 シン・経済学 ー貧困、格差および孤立の一般理論ー (帝京新書 004) 作者:小島寛之 帝京…