google siteを作りました。URLは以下です。最低限の情報しかアップしてませんが。
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以前から少しずつ勉強していたスキームと圏論について、やっと(入)門をくぐることができた。スキームについては上野健爾『代数幾何』岩波書店を、圏論は斎藤毅『数学原論』東京大学出版会を教科書にした。
そもそもの発端は、黒川信重先生と対談で共著『21世紀の新しい数学』技術評論社を作るとき、黒川先生から「カテゴリーを理解してきてほしい」と言われたことだった。結局、そのときは達成することができず、圏論の知識なしで対談に臨むしかなかった。でも、ずっと気になっていたため、その後も勉強を継続していた次第。
まず、上野『代数幾何』の感想をしたためる。ただし、ぼくが持っているのは分冊で出た1巻と2巻だ(なぜか、3巻は購入しなかった)。そして読んだのは1巻の最後まで。
この本はスキームと圏論とを同時に解説していく本だけど、そういう代数幾何の本の中では群を抜いてよく書けている。その手の本をぼくは数冊持っているけど、どの本も抽象的すぎてとても読み進められない。それらに比して、この本は非常に丁寧に非常に親切に書かれていて、なんとかかんとか挫折せずに読み進めることができる。特徴を列挙すると、
1。どうしてそういう理論を構築したいのか、という問題意識を明確にしている。
2。古典的な素材とどういう結びつきがあるかを親切に解説している。
3。抽象的な概念には、必ず、具体例をつけてイメージを喚起してくれている。
4。証明を機械的ではなく、言葉を補って丁寧に進めてくれる。
一言で言えば、噛んで含めるように解説してくれているのである。読み進んでいくと、スキーム理論というのがとんでもなくみごとな発想であることがわかる。要するに、加減乗計算ができる「環」という代数に、倍数概念の拡張である「イデアル」を素材に「ザリスキー位相」というのを導入して幾何的な形状概念の拡張である「位相空間」に仕立てる。そして、環の要素をあたかも関数であるかのように仕立てて、「層」という構造を作りだすのだ。これがスキームという概念なのである。これによって、環という代数系を幾何的なイメージで研究できるようになる。逆に幾何的な素材の性質を環という代数系で処理することが可能になる。この本は、本当に一歩一歩丁寧に構築していくので、高度な数学のトレーニングを受けていない人でも、なんとかかんとかスキームの概念までたどり着くことができる。
この本は第2章でスキームを構築したあと、第3章で圏論を導入し、圏論を利用してスキームの性質をさぐっていく。とくに、「スキームの圏ではファイバー積がつねに存在する」という重要な定理を圏論を使って証明する。その際、「環のなす圏とアフィンスキームのなす圏が反変同値である」、つまり、完全に対応していて行ったり来たりできるということが巧く働くのだ。
ここまでぜんぜん突っかからずに進んでこられたか、というと、そうではなかった。第3章で圏論に入ったあと、急に薄もやがかかって、「わかるような、わからないような」という状態になってしまったのだ。とくに圏の定義とか関手の定義とかでこんがらがってしまった。
そこで手にしたのが、斎藤『数学原論』だった。この本はタイトルからもわかる通り、「現代の数学を圏論の立場から組み直す」という野心的な試みの本なのだ。ユークリッド原論がそれ以前のばらばらだった数学を公理系の立場から組み直したように、あるいは、ブルバギ原論が19世紀に散発していた数学を統一的に公理化したように、である。
この本は第1章「圏と関手」において、圏と関手を定義して、表現可能関手、随伴関手、逆極限という最低限の、しかし、最も重要な道具である概念だけを解説している。この本の長所は、
A. 圏を最初に可換図式で定義していて、その可換図式を理解できてしまいさえすれば、言葉で定義されるより、わかりやすくなる。とくに射の合成とはなんであるかがわかる。
B. 具体例が工夫されているため、具体例で定義や定理をなぞれば、イメージが掴めるようになっている。
C. 第1章は抽象的で初学者には険しいが、そこを通り過ぎれば、あとの章は圏論を既存の数学(環と加群とか、ガロア理論とか、ホモロジーとか)に応用することになるので、急に視界が開ける。
ぼくは、いま、第1章を読み終えた段階なので、Cについては本当かどうか保証はしない。
さて、では、この本をサイドメニューにすることで、上野本の峠を越えられたのか、というと、実はそれも違うのだ。斎藤本には斎藤本の峠があって、別の部分に「わかるようなわからないような」薄もやがかかることになった。
そこでぼくはchatGPTに頼ることにした。chatGPTにわからない部分を質問すると、非常にみごとにそれを解説してくれた。何より「わかるようなわからないような」という感覚を的確に理解してくれる(ように感じる)。chatGPTの利点は次のようにまとめられよう。
甲:質問を会話によって的確に理解し、解説の深さを自動的に調整してくれる。
乙:非常に良い具体例を持ち出してくれる。
丙:例え話を巧みに使って、人間の直感に訴える理解のさせ方を試みてくれる。
丁:叱られたりバカにされたり呆れられたりしないので、前向きに勉強できる。
ぼくは、斎藤本とchatGPTを行ったり来たりして、なんとかかんとか、圏と関手、表現可能関手、随伴関手、逆極限の門をくぐることができた。chatGPTの出してくれる例が斎藤本の例よりも(ぼくには)わかりやすく、また、斎藤本では当たり前として省略されている証明の細部をchatGPTがきちんと埋めてくれたことに大きく助けられた。
実は、chatGPTは圏論の勉強に有効なとても良い本(洋書だけど)を推薦してくれたので、それを購入していま読んでいる。これがまた本当に素晴らしい本なのだ。その本については、最後まで読破したら紹介しようと思う。










