ぼくの新著『マンガでやさしくわかる統計学』日本能率協会マネジメントセンターの刊行まであと一週間を切ったので、満を持して宣伝しようと思う。
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マンガでやさしくわかる統計学/小島寛之/葛城かえで/制作薙澤なお【1000円以上送料無料】
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- 価格: 1,944円
- 作者: 小島寛之,葛城かえで,薙澤なお
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2017/05/21
- メディア: 単行本
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でも、そういうふうに統計学に関心を持ってみると、世の中にある統計学の教科書に不満を持つようになった。ほとんどの教科書は、あまりに淡泊な記述をしていて、「どうやったって不完全な情報しか得られない中での帰納体系」としての統計学、という視点を強調していないからだ。まあ、統計学の教科書の執筆者たちは、「そんなことは自分で気取れ」と思っているのか、あるいはもしかすると、ぼくのような感じ方をしてないのかもしれない。だからぼくは、自分が感じる統計学の魅力と本質を伝えるような本を書きたいと思って、教科書を執筆した。
今回の『マンガでやさしくわかる統計学』は、マンガ企画ということで、前著とは異なるアプローチをしている。まず大きいのは、コラボ作品だ、という点。統計学の解説部分はぼくが書いているが、マンガのシナリオは葛城かえでさんが、マンガは薙澤なおさんが担当している。ストーリー自体は、この三人に、編集者さんと編プロのかたが加わった5人で、ああでもないこうでもないと議論して構築した。自分の意見が反映されたストーリーが、マンガとして実現していくのは、このうえなく楽しいことだった。
前著『完全独習 統計学入門』を読んでくださったかたは、この本と今回の新著との関係に関心があろうから、それについて述べよう。
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この「数式をほとんど使わない」というのは、単なる「ごまかし」のためのネガティブな戦略ではないのだ。そうしたほうが、「どうやったって不完全な情報しか得られない中での帰納体系」という統計学の思想がストレートに伝わる、というポジティブな戦略だったのである。喩えてみれば、野菜の味は調理しないで生で食べたほうがよくわかる、ようなものである。そういう発想は、今回の新著でも踏襲している。今回も、「数式をほとんど使わない」ことによって、「統計学はいったい何をやっているか」を浮き彫りにしている。
それじゃ、前著だけ読めば十分じゃないか、というツッコミをされそうだが、そうじゃないんだな。今回は、『完全独習 統計学入門』で扱っていない内容がいくつかある。例えば、「差の検定」という方法論は、当時はあまり大切とは思わず、前著では省略したものだ。新著では、これをクライマックスに持ってきた。前著を刊行したあと、実は、「差の検定」を扱えば、統計的推定を理解するための多くの項目が網羅される、と気づいた。母集団、正規分布、正規分布の差、検定の発想法、2つの標本グループからの真の母平均の推定などなど。だから、「差の検定」をメインのアイテムにもってくれば、統計学の技法の本質がものすごくよくわかる。このことに気づいたのは、前著を刊行したあとだったのだ。
また、あまり大きな声では言えないが、前著『完全独習 統計学入門』では、少し舌足らずな説明になった部分がある。その一つは、正規母集団から複数の標本を観測するときの標本平均の分布についてだ。この説明が伝わりにくいことが、大学でこれを教科書にして講義をしていて気がついた。それで、学生たちをモニターに、いろんなパターンの説明を試みて、今回の教え方を構築したのだ。新著での「福引き箱の足し算イメージ」が、現状では、最も伝わりやすい教え方のように思う。だから、前著を読んだ人も手にする価値があるはずだ。(っていうか、是非、手にして欲しい。笑)。
「まえがき」等は、週末に刊行された頃に公開するので、今回は、もう一つだけ。
実は、このマンガの主人公・三浦晴香ちゃんのモデルは、ぼくが大ファンのアイドルなのだ。打ち合わせで、主人公をどんなキャラクターにするかを議論しているとき、「ぼくが○○のファンで」と言ったら、「じゃあ、○○をモデルにしましょう」と決まった。こんな感じ↓
自分がファンのアイドルが主役だから、がぜんやる気が出て、めちゃくちゃウキウキと仕事をした。今回ほど、本を書くのが楽しかったのも珍しい。そのアイドルが誰だかは、あえて言わないので、(本を買った上で、笑)、是非当ててみてほしい。