スタジオコーストで赤い公園のライブを観てきますた

 昨日(5月28日)は、新木場スタジオ・コーストで、赤い公園のワンマン・ライブを観てきた。
 実は、新木場とかお台場とかは、「遠いなあ」と感じてて、帰りに飲むとこないし、帰ってくると遅くなるから、基本的には行かない戦略にしてる。渋谷とか、代々木とか、六本木とか、赤坂とか、武道館とか東京ドームとかなら、行きたいライブには行くんだけど、僻地には億劫になってしまうのだ。年なんだと思う。でも、今回の赤い公園のライブは、じわじわと行きたい病の症状が現れて、結局、チケットを買ってしまったのだ。
 そして、行って良かったと思った。行かないで、あとでこのライブをDVDなんかで観たら、きっと後悔したと思う。そのくらい笑えて楽しくてそれでいてかっこいいライブだった。
 このブログでも何回か紹介したけど(例えば、六本木で赤い公園を観てきた。 - hiroyukikojimaの日記とか赤い公園のライブのこと、森内二冠の就位式のこと - hiroyukikojimaの日記とか)、たぶん、昨年だけで5回か6回、赤い公園のライブに通った。そのくらい、赤い公園はマイブームのバンドだったのだ。だから、今年はまだ一回も観ていない状況を考えれば、禁断症状が現れるのは当然というものだった。
 今回のライブは、昨年のEXシアターのワンマンとは正反対の、非常にフレンドリーな、イベントっぽいライブだった。女子校ノリというか、文化祭ノリというか、観客との距離感が近く、バンド本人たちも楽しく遊んでいる、そんな感じのライブだった。
 まず、しょっぱなから度肝を抜かれる。いつもはラストナンバーとして演奏している、CD未収録曲「ふやける」をオープニングにやったからだ。昨年に観たライブではすべて、これがエンディングナンバーだったので、驚天動地だった。「ああ、今日のライブは、これ一曲だけで終わりなんだな」という覚悟を固めた(笑)。というか、帰りの支度をしそうになっちまった。実際、彼女たちのライブでは、ぼくはこの曲を聴きにきてるようなものだ。なにせ、この曲はライブでしか聴けないからね。目的の大部分はしょっぱなに達成されてしまったと言っていい。もちろん、この曲は、長いライブのオープニングを飾るものにすぎなかった。オープニングでやってくれたことの効能は、曲の終わり方がわかったことだった。いつもは、彼女たちがめちゃくちゃに楽器を鳴らして轟音の中を去って行く、という(終わりなき)終わり方だから。実は、ぼくはPAのそばにいたので、PAの装置の前にセットリストが書かれた紙(とおぼしきもの)が置いてあるのを見つけて、見ちゃうかどうか迷ったんだけど、見なくてよかった。これが今回の最もステキなサプライズだった。
 これからも予感されるように、今回のライブは自由な発想に満ち満ちていた。なんせ、ボーカルの佐藤さんが、ギターを弾いたからね。彼女がギターを弾くのは、少なくともぼくは初めて見た。遂にギタボに転身したか、って思ったけど、最初の2曲だけだった。今後はどうなるんだろう。
 4曲もカバー曲をやったのも「遊び」的趣向の一環。そのうち3曲は、ギター一本とボーカル、というアンプラグド形式。残る1曲は平井堅の曲(赤い公園のシングルのBサイドに入ってる)で、佐藤さんのアフロのかぶりものが爆笑だった。これは、ライブというよりは、「芸」といったほうがいいと思う。
 セットリストは、4枚のアルバムからさまざま選ばれていた。昨年のEXシアターでのワンマンが、ニューアルバム「猛烈リトミックの曲を全部やったのと対照的だった。本人たちも、「やらなきゃいけない曲があるときと違う」と言っていた。その上で、「今日は、やらなくていい曲いっぱいやるから」と言ったのがめちゃくちゃウケた。選曲は、完全に満足だった。とりわけ、初期の曲「透明」をやってくれたので大満足であった。この曲は、ここ数年で新しく聴いた曲(赤い公園に限らず、すべての楽曲)の中で最もカッコイイ曲だと思っている。そして、この曲が入っている初期のアルバム「透明なのか黒なのか」は、彼女たちの未来を約束したアルバムだと思っている。
 しかし、こうして聴いてみると、津野さんの楽曲は、本当に斬新だと思う。世の中に転がっているたくさんの音楽ジャンルが形を変えて取り入れられ、絶妙のアレンジによって、新曲化されている。そういう意味では、やっぱり、津野さんは「日本のフランク・ザッパ」だよなあ、とつくずく思う。(はた迷惑と言わないでほしいぞ)。作曲能力だけじゃなく、思いっきりノイジーなギタープレーでもザッパ的だと感じる。あとは、ものすごいリズム(変拍子)でのアドリブを弾くことと、下ネタ満載の歌詞を導入すれば、ほんとに「日本のザッパ」になるんじゃないかな。(いや、なりたくはなかろうよ)。
 ボーカルの佐藤さんは、観るたびに歌が上手くなってるように思える。トークの面白さは、バラドルでやっていけるレベルと思う。藤本さんは、天然不思議ちゃんなトークに似合わない、ヘビーなベースが相変わらずですばらしい。歌川さんのドラムは、津野さんの斬新な曲をみごとに成立させる力量だし、佐藤さんがカバー曲を歌うときのハモり役でも楽しかった。
 このバンドには、この調子で、Jポップとガールズポップのあり方を刷新していってほしいと思う。

透明なのか黒なのか

透明なのか黒なのか

猛烈リトミック(初回限定盤)(DVD付)

猛烈リトミック(初回限定盤)(DVD付)