もうすぐ、素数についての本が刊行されます!

 新著の刊行まであと一週間に迫ったので、そろそろ宣伝し始めよう。
来週、刊行されるのは、拙著『世界は素数でできている』角川新書。タイトルでわかる通り、素数について解説した新書である。

今までも、素数に触れた本は何冊か書いたけど(『世界は2乗でできている』ブルーバックスとか、『数学は世界をこう見る』PHP新書とか)、素数だけに絞った本は初めてだ。本書は、全編が素数の、素数づくしの本となっている。今回は、まず、目次立てをさらすことにする。

   『世界は素数でできている』目次
□第一部 素数のふしぎ
第1章  世の中は素数でいっぱい
第2章  素数にハマった数学者たち
第3章  素数についてわかったこと・未解決なこと
第4章  素数の確率と自然対数
□第二部 素数が作る世界
第5章  RSA暗号はなぜ破られないのか
第6章  虚数素数
第7章  難攻不落! リーマン予想
第8章  素数の未来

多少の補足をしよう。
第1章は、「素数がいかに世の中に興味を持たれているか」について、ライトに書いた。ぼくが監修として関わったドラマ『相棒』ドラマ『電子の標的』の裏話にも触れている。
第2章は、ピタゴラスから、ラマヌジャンまで、素数にハマった数学者たちの歴史をたどっている。
第3章は、ウィルソンの定理とか、メルセンヌ素数について解説したあと、古典的な予想、例えば、双子素数予想とか、ゴールドバッハ予想とか、奇数の完全数予想とかについて、できるだけ最新の結果を投入している。
第4章は、素数定理の確率解釈を説明した上、自然対数と素数の関係について解説している。
第5章は、素数を使ったRSA暗号の仕組みを、できるだけわかりやすく説明し、安全素数についても数学的に解説している。
第6章は、複素数の中で素数を研究する、数体の理論を紹介する。その上で、他の啓蒙書にはほとんど扱われていない、コンピューターによる素因数分解「数体ふるい法」を紹介している。最後には、量子コンピューターの原理を述べ、それがRSA暗号を破る可能性について解説している。
第7章は、リーマン・ゼータ関数リーマン予想の総合的で初歩的な解説。他の啓蒙書よりは、わかりやすく書けたと(自分では)思う。
第8章は、素数を使った有限体の原理を説明し、最新の素数判定法AKSアルゴリズムを紹介している。クライマックスとして、有限体上の楕円曲線についてのハッセの定理を経由して、ラマヌジャンゼータ関数についてのリーマン予想に対して、その証明のアイデアを紹介してしめくくっている。
 いやあ、ほんとに素数づくしの本となったす。是非、書店で手にとってみてくださいな。