2008-01-01から1年間の記事一覧

数学推理もの

デブリン&ローデン『数学で犯罪を解決する』ダイヤモンド社を読了した。山形浩生訳である。数学で犯罪を解決する作者: キース・デブリン,ゲーリー・ローデン,山形浩生,守岡桜出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2008/04/11メディア: 単行本購入: 19人 …

孤独な数学少年

芹沢正三さんから、新著を献本いただいた。それは以下。数論入門―証明を理解しながら学べる (ブルーバックス)作者: 芹沢正三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/22メディア: 新書購入: 5人 クリック: 132回この商品を含むブログ (13件) を見る今回は、…

拙著『確率的発想法』の韓国語版に感動した。

今回は、拙著『確率的発想法』NHKブックスに関する話。この本を読んだ人だけにしかアピールしないと思うので、あしからず。 つい最近、この本の韓国語版が刊行された。タイトルは『確率の経済学』。こっちのタイトルのほうが、内容をよく表している、と思…

ビールを公平に分ける方法

これは、一度、Wired visionのブログにhttp://wiredvision.jp/blog/kojima/200803/200803061103.htmlとして書いたことだけど、こっちの個人ブログにも、多少味付けを変えて書いておこうと思う。 公平とか平等とかいうことばは、ひとをうっとりさせるに十分な…

隠れて物理を勉強する

ちょっと前から隠れて物理を勉強している。使っている本は、山本義隆『新・物理入門』駿台文庫、である。出版社名を見ればわかる通り、これは高校生向けの参考書である。 物理を勉強したいのは、研究上の必要と個人的な興味と両方なのだが、研究上必要な部分…

ガロアの定理をわかりたいならば

数学書の読みやすさとは、人によって違うと思う。それは、「わかるツボ」というのが人によって違うからだ。幾何的なイメージなしには進むことができない人もいれば、むしろ逆に、非常に形式化されてがちがちに論理的な進み方をしないとわかったような気がし…

栄光なき天才たち

前回に引き続いて、「科学者伝」の紹介。今回は、予告した通り、マンガ『栄光なき天才たち』作・伊藤智義、画・森田信吾だ。栄光なき天才たち 2 (ヤングジャンプコミックス)作者: 森田信吾,伊藤智義出版社/メーカー: 集英社発売日: 1988/05/01メディア: コミ…

笑える科学者伝、泣ける科学者伝

最近、内田麻理香『恋する天才科学者』講談社を読んだので、ついでに今までに読んだ科学者伝もいくつかいっしょにして紹介してみようと思う。恋する天才科学者作者: 内田麻理香出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/12/20メディア: 単行本購入: 6人 クリック…

ウィトゲンシュタインと音楽

これから書くことは、講義で聞いた話とか、どこかで読んだ話だけど、ちゃんと裏をとってないので、嘘がまじっているかもしれないことをあらかじめ了承いただきたい。 ぼくは、哲学の中では、ウィトゲンシュタインに最も影響を受けたと思う。もちろんぼくは哲…

ローティーンのための代数入門

今、ゆえあって昔塾で作ったテキストをがさ入れしていたら、『ローティーンのための代数入門』というテキストが出てきた。1985年ものである。 何年生向けであるかはわからないが、中学生向けであることは確かだ。で、序文を読んだら、「まじかよ」、みたいに…

フェルマー予想解決の話+昔に女子大で数学の講義を聴いた話

今や、フェルマー予想も、ポアンカレ予想も解決してしまった。そして「フェルマーの最終定理」、「ポアンカレの定理」という座に落ち着いた。(証明者に冠するなら、ワイルズ・テイラーの定理、ペレルマンの定理と呼ばれるべきかもしれないが)。残された著名…

華やかな孤独

前にも内田善美のマンガの紹介をしたけど、内田善美のマンガで最も傑作だと思っているのは、『ひぐらしの森』という作品だ。これは1979年に「ぶーけ」に掲載され、1980年に「ひぐらしの森」という単行本に収録された。wikiによれば、内田さんが頑なに再版を…

ホラー映画で殺される順を当てる方法

さて、このところ、本のキャンペーンということもあって、ずっと真面目な話や泣ける話を書いてきたので、その反動から不謹慎な話を書きたくなってしまった。というわけで今日は、オタク系おやじモード全開で行く。 実は、ぼくは、こう見えても(どう見えても…

数学オリンピックについて思うこと・その2

前回に引き続いて、数学オリンピックのことを書く。 前回は、数学オリンピックについて、けっこう否定的なことを書いたが、思い出的にはいろいろ楽しいことも多い。最も思い出に残っているのは、次のような問題だ。 「ある世界的組織は6カ国のメンバーから構…

数学オリンピックについて思うこと・その1

Wired visionのブログ連載で宇沢先生の「教育に関する経済理論」を紹介するために先生の著作『日本の教育を考える』(岩波新書)を読み直した。 読み直してみると、あまりにすばらしく、自分の今回の著作『数学でつまずくのはなぜか』(講談社現代新書)がめちゃ…

だいぶ昔、東大生が内ゲバを阻止した話

今日の新聞の書評欄で、漫画家・樹村みのりの新著が紹介されていた。それは以下。見送りの後で (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)作者: 樹村みのり出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2008/01/11メディア: コミック購入: 5人 クリック: 29回この商品を含むブ…

オリバーサックスの描いた「障害」

ぼくの新著『数学でつまずくのはなぜか』を、小飼弾というかたがブログで書評して下さった。それは以下。 404 Blog Not Found:数学は友達だ! - 書評 - 数学でつまずくのはなぜか これはあまりにすばらしい書評だ。たぶん、書いた本人よりもこの本の内容を良…

『数学でつまずくのはなぜか』

今日あたりから、ぼくの新著 『数学でつまずくのはなぜか』講談社現代新書 が、書店に並び始めていると思うので、ここでも宣伝させていただきたい。数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/01/18メデ…

オートマトンの食べ方

昔、某所の日記に、次のようなアホ話を書いた。 オートマトンというのは、オートミールの姉妹品であり、羊肉をベースにした 簡易で栄養価の高い食べ物である。オートミールは、そのまま湯で温めて食べる 方法と、牛乳と砂糖をかける食べ方があるが、オートマ…

宇沢師匠のこと

ぼくは、人生の中で、運命的な出会いというのを何回か経験した。 それらの出会いは、現実のぼくの運命を大きく変えてしまい、ぼくの「いま」を生み出すこと となった。中でも経済学者・宇沢弘文師匠との出会いが、最も大きなものだった。 宇沢先生と出会った…

クリスマスも正月も仕事をしてたのだ

三賀日は、結局、家で仕事をしていた。 指導している院生の修論の仕上げにつきあってたのもあるけど、主には、 1月20日に発売される新著 『数学でつまずくのはなぜか』講談社現代新書 の最終校正をしていたからだ。 そういえば、初校を校正したのは、クリス…

至るところ微分不可能殺人事件

坂口安吾の傑作推理小説に『不連続殺人事件』というのがある。 これは、たぶん、「連続殺人事件」という用語をもじったものなんだと思う。 推理小説としては、パロディではぜんぜんなく、非常にタイトな正統派のミステリーであり、 トリックも秀逸だから、未…